十二月七日、八日

 七日。

 石積みのだんに、セージが咲き残っている。チェリーのいろ、アメジストのいろ。

 着物になりそうなしゅべにの小花はかん木瓜ぼけ。遠くの山々が色あせて寂しくなっても、庭には選りどりの植物がひかる。

 白菜や大根、冬野菜の漬けものが、家から家へと立ち話を結ぶ役をしている。


 八日。

 夕暮れがあんまりきらきらするので、網膜もうまくきんになったのだと思った。

 山襞やまひだは、惑星のにしたがって幾層いくそう、幾層、生えている。空中にはばたく鳥。その影。影おちる草。草おおう土。……

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