三月二十二日、二十三日

 二十二日。

 夜の夜なか。丸々した月がてっぺんにある。夜のこどもたちのささやきが聞こえる。

 「月さま見てよ。なにかたくさんの色をしてるよ」「あれ花のいろだよ」「冬のあいだは氷のようだったのに」「ほんとうそうさ。月さまは毎夜毎夜ちがうものでできているんだから」「あれ菜花のいろだよ」「桃いろのところもあるよ」「あつめるんだよ、あつまってくるんだよ。そうしてたくさんの花を着てどこかの国へいくんだよ」


 二十三日。

 箱苗づくりをする。しゅは機械にまかせてしまうので、機嫌を取りながら百幾十の箱を流す。

 若苗の少年たちは男の子ばかり四人で、沢蟹さわがにをとっては家のまわりを走りまわっている。

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