三月十日

 知人の案内で山歩き。滝のそばでせりりをする。椿つばきのしたをくぐって湿地を進むのに、足もとがはまりこんでいけない。ぬかるみのひどくないところには春の小花が咲く。

 必要なだけ束にしたら小川で根のどろを落とす。だれが世話をしているのか、三椏みつまたがよく花をひらいている。若くてやわらかな香り。

 芹は根ごと出汁だしで煮て夕のおかずになった。噛むほどしみる山の味。

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