三月八日、九日

 八日。

 せたたぬきのようなのが急ぎ足であぜを渡る。さて畑に出なければよいけれど。

 夜。どんな記憶のせいか見放題の夢が枕もとに散らばる。頭の描画帳をいち枚ずつやぶって投げて海になる。床はすっかり隠れてしまい羽毛の孤島からてない。


 九日。

 友人からの紹介で、とある方の個展にいく。

 時刻は昼過ぎ。風もあり春めく陽気。それでも古美扉アンティークドアのうちがわでは、結晶した花やおもいがしとりと冷えて待っていた。

 静かな作品たちを楽しんだ帰路、本屋にて探していた本を見つける。

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