三月六日、七日

 六日。

 啓蟄けいちつ。昼間に庭で蛙の声。きりりころろとヒワの声。

 気のよい、気ままな村の仲間は今年も目を覚まして、まずはひと鳴きろうする。


 七日。

 夕。雷雲はわずかな雨を残して西から晴れた。空気のわりに冷たくはない水粒が、咲くも盛りの梅畑に、ちいさな真珠のごとく降る。

 東は暗く薄青い。二重の虹がゆったりと、そらで大地をつないでいる。

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