八月二十六日

 昨日今日と日射しが出て、いねかわいたところかられをする。

 午前のうちは昼食用のおかずを作ったり、お茶やおやつを配って回る。透明とうめいな川でぷかぷか、なしが冷えているのをひろってく。白い果実。赤い西瓜すいかも。

 そのうちに親戚しんせきの子どもらが遊びにくるとなつかしい田んぼ仕事のにぎやかさになる。


 午後。支度をして田に出る。かいの入らないすみを手作業で刈っていく。ちいさなバッタ、おおきなクモ、くつろいでいるところをお邪魔じゃまして、の海をかきわける。

 二時間もしないうちに、あまりの暑さでまた果物を配って歩く。散歩ちゅう通りがかったご夫婦ふうふにも、近所の気安さですすめてしまう。そこへ、よその田のひとがじってブルーベリーをたんとくれて、即席の寄りあいになった。


 日は強いけれど秋の風。草のにおい。れる稲のなかにしゃがんでいると思い出すことがある。

 刈り終わりに、ひろびろとした田を駆けまわったこと。ざるを抱えての落ち穂ひろい。脱穀だっこくあとの稲茎いねをあつめた鳥の巣づくり。……子どもの時分のこと。……

 作業を終えて、川に素足をつける。冷たくてつめたくて、熱がぜんぶ逃げていく。なんとなく、一日きょうの終わりをさみしく思う。日はまだ暮れずにいる。

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