九月十五日、十六日

 十五日。

 昼。先日、出先で再会した友人M(九月三日参照)をたずねる。上野散策をともにした友人H(九月九日参照)もやってきてなつかしい顔ぶれがそろった。

 わたしを含め三人同級。M宅のお子さんと遊んだり(こちらが遊んでもらう側である)、音楽番組を視聴してきょうが乗って、歌ったり踊ったりするかいな集まり。


 夜。小雨が降る。道は青い洋墨インクでびしゃびしゃひかる。


 十六日。

 くもり。散歩に出る。

 実りがあちこちにある。椿つばきの実、茶の実、しきみの実。無花果いちじくれている。柿も蜜柑みかんも重くなる。

 山道では柴栗を拾う。れいなふた粒を手のなかでころころ転がして歩く。


 しばらくするとあつくなる。あぜにはツルボの薄紫、露草つゆくさのあを、曼珠まんじゅしゃくれないがずうっと続く。なんという色彩いろだろう。どこからあふれた命だろう。

 こんな日には生きものにもよくであう。放し飼いにされたこっけいたち。二メートル近くありそうなアオダイショウ。水辺にはメダカと、よくわからない小さな魚。


 西の山は緑のいろが、ややせてきたように見える。じんわりにじむ汗を拭きながら帰宅。栗を皮ごと湯掻ゆがいてから、半分に切り割っていただく。今年初めての秋の味。

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