十二月三十一日

 村を歩くと、いつもよりにぎやかな雰囲気がある。親族か、庭に集まって火を起こして、食事などしている家もある。

 金糸銀糸のお飾り、竹いろの門松。こぼれる南天。……

 昨日もちつきをしたとかで、四角く切りそろえたのを届けてくれた家があった。まだやわらかさののこる白。どうしていただこうか考えるだけで頬がゆるくなる。

 自室には明日からのカレンダーをひらかずに置いてある。芹沢銈介の染型によるものの印刷普及版。あの明るく親しみの湧く芸術と毎月であうのが楽しみ。


 『詩の読解』(思潮社)を読む。昭和五十六年発刊の鮎川信夫、吉本隆明による対談集。

 夏頃だったか古本屋に行った折、手に入れたもの。日本における戦後詩の一片を知ることができる。また創作の根底として、現代にも通じるものがあると感じた。

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