五月三十日、三十一日

 三十日。

 いつの間にか一面にかざっているのは、川の手前の栗畑。あわむしくりいろといおうか、これが毎年、山のようにをつけるのと同じ木だとは到底とうてい思われない。

 畦道あぜみち野蒜のびる。ひょろりと伸びきったくきのうえに、い赤いろをした珠芽むかごがひかっている。


 三十一日。

 道みち、びわの実がなる。あののいろをした丸い実が重なりあって、枝ごとれさがっているのは、どこかこころおどるすがただと思う。

 山の足もとで、薄水色の紫陽花あじさいともるように咲いている。

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