十月二十六日、二十七日

 二十六日。

 夜。空は暗やみに変にくもって、世界地図のようになる。まだ寒さの口。川水がどぼどぽ鳴っている。

 澄んだ虫の音。土地のつくりのせいか木の枝から聞こえてくるようで、それが例えばなにかの夜鳥で、こんなふうにさえずっているのなら楽しい。


 二十七日。

 早朝しとしと、昼まくもっていたのが夕方前に晴れた。いくそうにもなっていた雨雲は綿わたぼこり。かぜぼうきかれてひと切れも残っていない。

 あらわれたのはあざやかな宇宙の紅葉もみじ。一日の節目に季節が仕掛しかけるからくり。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る