一月十日、十一日

 十日。

 せまい四つ角に立つさいかみのもとに、村じゅうのお飾りが集まっている。正月に各戸の玄関、水場、火の元へと供えられたわらづくりのそれを、小正月まで石の背にあずかる。

 道には、さんの枝を振りふり、路をいく家族がある。商店に寄れば上新粉、まゆだまかざりのための縁起物が並ぶ。祭りの前の浮き足立つ感じがする。


 十一日。

 日の伸びはじめは、どうしてか嬉しくなる。まだ遊べる、まだ暗い物の怪は見えてこないよとスキップしたくなる。

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