一月八日、九日

 八日。

 睦月の村にハクモクレンの越冬芽。いまはまだ毛皮を羽織り、上等の服をつつんでいる。赤いうろこはサクラ。西の山のロウバイは、だいぶやわくなった。

 夕暮れのなかで、これから勤めのお月さまがぶたをひらきかけている。


 九日。

 くず湯をいただく。匙ですくって、のんびり味わうのにちょうどいい。生姜蜂蜜、ゆず皮や、梅の甘煮などをのせても美味しい。

 あたたまりながらそらを見あげる。吐く息はどこまで昇っても消えずに白い。高く遠く鳴く、冬の星は夢を見ない。

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