一月六日、七日

 六日。

 ただ感じるときにのみ「ほんとう」であるもの。名前や意味を必要としないもの。……

 あまりに深くねむりすぎたとき……またそこからめたとき、夢のふちから目だけを出して、こちらの世界をのぞいている。

 場所もおのれもほどけている。なにもかもを置いてきている。


 七日。

 年明けの台所はようやく落ちついた。家のひとが昨日から七草を机に並べて、今朝、土鍋でかゆいた。梅干しや、じゃこで好きに味を加える。

 外を歩けば枯れ草の、まきのと田んぼに積んである。これは小正月にある、あかるい祭りの支度。

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