九月二十日、九月二十一日

 二十日。

 『小川国夫全集』(小沢書店)の第一巻を読む。明日、静岡県内の文学館へ行くので予習のために。

 短編たんぺんが多くしゅうろくされているなかで、旅先での体験を題材にしている作品群が特にこのみ。荷物をみこんだオートバイとともに、時にえ、時に安息をながら、であう現地の人間をえがいていく。


 二十一日。

 あるかたのおさそいで、「するが文学三館めぐり」というバスツアーに参加する。

 静岡県焼津市の「焼津小泉八雲文学館」、静岡市の「中勘助文学記念館」、藤枝市の「藤枝市郷土博物館・文学館」が共同で開催かいさいするもので、県立大学のゼミ生も協力しているとのこと。

 このなかでおとずれたことがあるのは中勘助の記念館(通称なかかん)だけのため、ガイド付きで周遊できるのはありがたい。

 ……ちなみに昼食はその「なかかん」でとなった。レストランなどは併設へいせつされていないので、ツアー参加者が折りたたみのテーブルを囲み弁当を食べる。

 外は明るい小雨。なかかんのりょくのひとつであるぜいあふれる庭が、今日はしっとりうるんでいる。目にやさしいサルスベリ、あざやかな曼珠まんじゅ沙華しゃげれている。……

 

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