四月二日、三日

 二日。

 数日、北の山には見るたびに雲がかかって、雪と思われる粉をあびている。まだかげこおる峰。あそこに冬のこどもが取り残されているのじゃあるまいか。


 三日。

 芝桜。小花の波は石垣から田んぼへと落ちる。薄青に白。赤紫も数を増す。

 村をぐるりとする川に沿って歩く。柿の、無花果いちじくの、枝に無数の新芽。いまは静かな働きものよ、ことしも葉に花に、そのに楽しい話をたくわえて、気が向いたころ聞かせてほしい。

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