十二月十九日、二十日

 十九日。

 夢。冬の昼間。陽の射す戸窓のそばでキルトをつくる。集まった何人かで、ひとつの大きな作品を仕上げているらしい。組み合わせた幾何学模様が、どうやってか最後には様々な花の束に見えるという仕組み。

 そばに座るひとたちは顔も知らないけれど、この世界ではみんな友人。

 白い猫だか、うさぎだかがフローリング床を走ってきて表地と裏地のあいだに入りこむ。あっと思ったとたん、それが綿になって落ち着いた。みんな当たり前のように針を刺している。「そうか、こういう手芸用品だった」……。


 二十日。

 夜。まるみを帯びた月の刃が、きしりと村を彫刻する。川から氷のにおい。昼のうちは陽の子どもである金柑も、この時間は青く静かに磨かれている。

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