七月六日、七日

 六日。

 夕の散歩。まだ暗くなりきらないのに、杉山は薄雲うすぐもを引っかけて、しんとしている。

 昨日の夢に満ちた波のことを考える。この雨が過ぎたらば、砂浜を歩こうと思う。


 七日。

 七夕たなばた。西洋ではこときの神話が与えられている「こと座」。そのα星が「おりひめ星」。

 琴弾きの男も、はたりのむすめも、深くひろい川に因縁いんねんがある。

 雨が途切とぎれないので、天の川はどれほどれているだろう。黄泉よみの渡し船も、かささぎの橋も、役をしないだろうか。

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