十二月十三日、十四日

 十三日。

 夜の散歩。今夜の月も美人。

 歩くうちに流星を見る。カシオペアを右、すばるを左にして、音がしそうなほど輝かしいのがそらを裂く。

 ちょうど、ふたご座流星群の時期。極大日の前日だけあって放射点が低くてもにぎやかになっている。

 すばるとアルデバランの西あたりに接近中のワータネン彗星があるはずだけれど見えない。あの透けたみどり、尾を引いて空間をいく星は、ひとりぼっちでもなにか呟いているだろうか。


 十四日。

 大きくて重みのある林檎をいただく。鼻先にいい香り。

 夜になってくもる。流れ星は村から隠れてはしゃぎまわっていることだろう。こちらは拾える星を硝子容器に詰める。……琥珀糖を干していたもの。ちいさな星のかたち。

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