十二月十五日、十六日

 十五日。

 夕。以前から気になっていた店にいく。

 表通りから少し入ったところ、初老の夫婦が切り盛りしている純喫茶。オリジナルブレンドのコーヒーと、シナモンクリームトーストを注文する。

 流れているのはオルゴール調のクリスマスソング。吊りさげられた照明が白いかべに影を映す。かざられたコーヒーミル。卓上ランプはステンドグラス風。……

 暮れていく外の日をながめながら、温かく美味しい時間を過ごす。


 十六日。

 道ばたの無花果いちじくそろえられて利口でいる。落とされたほうの枝は、いくつかの小粒な実を残したまま土のうえに干されている。この寒さのなかじっとしているのは、いずれくる小正月のに燃えるため。

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