十一月二十九日、三十日

 二十九日。

 早朝。きょう太陽は新しい飴玉あめだまのいろ。宇宙のびんで、かろんかろんと音がする。村に目覚めを告げている。

 深夜。月は見えづらいけれど星ぼしがまたたく。氷水のように湧く光。あと数日すればこのそらのしたを歩けるようになる。


 三十日。

 貝がら切手のかた(五月一日参照)から、うれしい贈りものが届く。

 きらめく、三種のはくとう標本。かっちりした、鉱物画のレターセット。飾ってみると、たちまち机のうえが理科室になる。

 同封されていた手紙は、月の表面をがしたような銀のはくしだった。

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