五月一日

 手紙が届く。灯台からつつばめが描かれた封筒に、あわい貝がらの切手がられている。まるで鳥が貝をくわえてきたような、優しい気持ちになる。そっと耳をあてると音信が通じるのだろう。

 このかたは、いつもこんな物語を乗せた手紙をくださる。前回は可愛らしいパレードの一団が夜にまぎれて言付けにきた。レースみの切手をはたにして。


 月や日の美しさが一等なのは、山のきわから上がってきたばかりのとき。今夜は特に、赤みがかったはくのいろにれる。あのたまは金のふちどりをされて、棚田のかがみにすがたを映して、ひとりで天を転がっていく。

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