十月十九日、二十日

 十九日。

 夜のドライブ。明るいうち冠雪かんせつの目立った北の山は、暗やみにとけてしまった。まちへ出る。ここに浮かぶ月は真珠の白さ。星はどこにも見えない。


 二十日。

 山梨県は身延町、なかとみ現代工芸美術館を訪ねる。『生誕300年木喰展もくじきてん鑑賞かんしょうのため。

 丸くまるく、幸福そのものをたたえるしょうぶつあつみのある手をどこまでも広く感じ、安心を覚える。


 ぐるりと周ってもとへと寄る。日は温かく、風がすずしいい気候。山道の木々はわずかずつ紅葉を始めている。まだ人影は少ない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る