一月三日、四日

 三日。

 夢。「はねのはえたうつくしい人」と話をする。

 あれは生家のあたり。その人が誘う遊びであたりの屋根を飛びまわるので、わたしも見まねで跳ねてみる。背に羽はないけれどぐんぐん高く体が舞う。

 足場にするかわらは黒、黄土、群青いろいろ、赤もある。たまにちらちらまたたくのは、その人の身につけている装飾具。うすみどりの石の首飾りや、足輪やなにか。

 ……かいに回転する視界からほうり出されたこちら側で、絵本『化鳥』(泉鏡花・原作)をひらいたまま眠っていた。


 四日。

 星は針の先。玻璃はりくず。しゃらちく、しゃらちく、天幕を刺している。厚い仕切り布にいつか手が差しこまれて、だれかがのぞくだろう。彼は針職人か、玻璃職人。ランプの灯りを頼りに仕事をしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る