青木村道

きし あきら

青木村道

平成三十年・春

平成三十年四月四日

 夕方の村はなにとなしに好きな感じがする。

 一日の労働に心地よくくたびれた村。ゆるやかな椀型わんがたの地におりてくる安らぎよ。

 呼びかわされていたからすの声もいつかやんだ。こうもりは阿呆あほうに可愛い顔で、ひとつふたつ舞っている。

 暮れどきと親しい山蛙の声。


 すもももアカシアも、よく咲いてよく散った。

 柿畑の枝は薄みどりの羽をもつ妖精の宿屋にでもなったか、からだじゅうに無数の若い葉を泊めている。

 冬あたりに切りそろえられた無花果いちじく。その利口でいたところのわきから未熟みるい枝が伸びる。

 芽かきしたじゃがいも。芯をだくキャベツ。九条のねぎ坊主は兄弟が多いわりに人見知りで、まだちいさくかたまっている。

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