身の振り方を考える

 とりあえず、ここにいても仕方がないよね。

 必要なものを揃えて貰って出ていく?

 このままの状態で外に出て大丈夫なのか?


 もとの世界でも未成年だし(この国の成人が何歳なのか知らないけど)、見た感じこの国の方々は、体格がいい。

 身長高いし、ここまで来るのにすれ違った騎士さんたちはマッチョだった。


 私は、小柄だ。

 クラスで背の順に並んだら前から二番目だったぐらい小さい。


 さっきから感じる可哀想な子だと思われて投げられている視線は、せっかく呼んだのに役立たずというのと、めっちゃ子どもが来たと思われているのだろうか。


 うん。よく小学生に間違えられたしね。

 そんな子どもを「え、役に立たない。はいそうですか」と外に投げたすか?

 普通はしないな。

 でも、こいつら信用して大丈夫なのか?

 悪い人たちではないと思うけど、お花畑集団っぽいしな。


 無表情で色々と考えていると、後ろの扉が開かれる音がする。

 意識をそちらに向けると漫画だとイケメン王子さまに分類されるであろう人が入ってきた。


『されるであろう』というのは、私はイケメンに余り興味がないからだ。

 アイドルより刑事物のドラマのがドキドキするし、少女マンガよりも少年マンガのが好きなのだ。


 恋愛ものは、恥ずかしすぎてみていられないから。


 実際にキラキラなイケメンを前にしても私の趣味は通常運転だった。


「父上。召喚の義が上手くいったと聞いたのですが……」


 乱入してきたイケメンさんは、国王と話始める。

 どうやら、王太子らしい。

 入ってきてしまったものは仕方がないと紹介をされる。


 しかしこのイケメン、話なんぞ聞いていなかった。

 なぜなら、視線が女子高生に固定だったから。

 女子高生もポカーンと顔を赤らめて見つめている。


 うわー。こんな間近で始まんなや。

 他所でやれよ。

 隣の男子高校生は、ショックな顔をしている。

 まさかの失恋ですか。ふぁいとー。


 彼らはなんだか甘い雰囲気をだだもれさせながら自己紹介をしている。


 王太子の名前がアルフォードで、女子高生が浜島 凜だということがわかった。


 うん。これだけわかっただけでも収穫だな。

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