旅立ちの日に

 数日後、北の森に出発する準備ができた。

 この為にコート、マフラー、レギンス、手袋をつくってもらった。

 ミトン形の手袋は第二間接のところに切れ込みをいれてもらって、指先が出せるようにつくってもらった。


 ちなみに制作に関しては、おネエことマダムに頼んだ。

 私のアイディアを聞いてイラストにおこし、想像通りのものを作ってくれた。

 お礼につけ襟型のマフラーの話をしておいた。

 ファーとはちがい襟の先についたリボンで止めておけて両手があくので便利だよね。


 私の話を聞いて目をギラギラさせていた。

 商売人だねぇ、売れそうな物の匂いには敏感なんだね。

 マダムに「他のアイディアはないの?」とすごい勢いで聞かれたが、そういうのは凜の方が詳しいよって返事をしておいた。


 本当は裏地あったかパンツとかヒートテックがほしかったけど、こちらの世界にはそういう素材とか技術がなさそうだから言わなかった……嘘です。私が原理を知りませんです。


 私は、おしゃれさんじゃないからな。

 実用的な服とか物のが役に立つし、お洒落着なんてないからなぁ。


 なので今日の装いは、制服の上にコートをきて、その上にポンチョを着ている。

 寒いから。


 そしてマフラーをして、五本指の手袋の上にミトン型の手袋をしている。

 寒いから。


 スカートの下にレギンスとスカートの下にはハーフパンツをはいている。

 寒いから。


 カイロがほしい。

 切実に。



 兎に角、寒い。

 ちょっと前にアレンが雪はまあまあ降ると言っていたし、ノアが「つもったらびっくりする」と言っていたが、こりゃびっくりだ。

 15㎝ほど積もっている。

 そして雪がまだまだ降っている


「みんな寒くないの?」


 たぶん冬用の団服だろうけど、それにマントだけって寒くない?


「いつもよりは着込んでるよ」


 私もいつもより着込んでるよ?


「まぁ、慣れっすかね?雪自体に」


 黙れ、ウォルター。

 お前だって雪みてはしゃいでたじゃないか。


「お前、引きこもりだから……」


 あ、軽くディスられた。

 アホな会話をしていると、アレンがやってきてこんなことを聞いた。


「馬には乗れますか?」


 馬?ホース?スーホの白い馬の、うま?


 小さい頃に動物園のふれあいコーナーのミニホースを撫でたことはあるよ。


「……ないと言うことですね」

「そうとも言えますね」


 馬なんて乗ったことないよね、普通はさ。


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