気まずくても進むしかない
sideエドワード
扉が閉められたあと、しばらくそこに立ち尽くしていた。
マジでビビった。
それに申し訳ない。
自分、タイミング悪すぎだろ。
固まっていると向こうからウォルターが歩いてきた。
「あれ、どうしたんすか?」
「いや、なんでもない」
「?ご飯っすよね?あ、お嬢を呼びに?」
ウォルターは、のほほんと話ながら近づいてきてアイナの部屋の扉を開けようとする。
「のーーー。だだだだ、だめーじゃなかった、もう呼んだから。声かけたから」
慌ててドアノブを取り、開けれないように立ちはだかる。
ウォルターは、そんな気にした風もなく
「そうっすか?てか、どうしたんすか?ほんとに。なんか変っすよ?」
と返事をする。
「いや、全然、普通。大丈夫。食堂に行こう!」
ウォルターの背中を押しながら、歩き始める。
ここんとこレティシアが嬉々として関わっていたのはこれか。
彼女のために作られただけあってとても似合っていた。
しかし、今までたくさんの関わりあがったとは言わないが、あまり感情を出さない子だなと思っていたのが耳まで真っ赤にして照れる姿は新鮮だった。
だから見ているこっちまで恥ずかしくなってしまい、動揺してしまったのだが。
……これで部屋から出てこなかったらどうしよう。
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side愛菜
部屋の扉の前で落ち込む私。
扉越しに話し声が遠ざかっていくまでしばらく固まっていた。
今のエドワードと誰だったんだろう。
なに話していたのかな。やっぱり「一人でファッションショーしてたよ」「うわっ。痛いやつ!!」みたいな会話だよな、きっと。
出ていきたくない。吐きそう。
でも、ここで出ていかなかったら、絶対次に出ていくタイミングをなくすよな。
ここで出ていかなかったら、どんな顔して出ていけばいいのかもわからなくなる。
出ていきずらいのは経験済みだから。
出て行ったときの「なんできたの?」って空気だって経験済み。
どちらがいいかと言われたら、私は自分の知らないところでいろいろ言われるより、全部知っていたいから。
たとえ、自分がどれだけ傷ついたとしても。
「よし」
言葉に出したって、全然気が進まないけど、とりあえず今まで着ていたワンピースに着替える。
さあ、針の筵だろうと痛い子と言われようと今まで通ってきた道なのだから私なら大丈夫。
そう自分に言い聞かせて重い足取りで食堂に向かったのだった。
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