はじめてのおつかい
と、いうことで「囮になってサクッと事件解決大作戦」が始動することになった。もちろん、これは私の心の中で呼んでいる作戦名だ。
そうは言っても、内容は簡単。
私が囮になり、街を歩く。
みんなが配置について、闇落ちが見つかり次第、討伐する。
私は速やかに退避、らしい。
作戦名のが長いかもしれない……
やってる内容は大したことではない。
まぁ、私は囮だから。
討伐組のが打ち合わせをいろいろとしていたぐらいだ。
そして三日後、決行の日がやって来た。
朝、作戦に参加する人が集まり、最後の打ち合わせが行われた。
メンバーは、アレン班の私を含めた五人とレティシア班からレティシアとエドワードだ。あとは、第三の方々が何人かいた。
「では、今日はよろしくお願いします」
アレンの言葉にみんなが三々五々、持ち場に散っていく。
囮は、私とウォルター。
見回りは、第三の方々。
あとは、所定の位置に待機。
さすがに一人でうろちょろしていたら怪しすぎると言われたけど、何故ウォルターとセットなのかわからない。
ビミョーに勝ち誇った顔のウォルターが気に入らない。
しかも気に入らないのは私だけではなかった。
「私がペアでも良かったのにー。一緒にお買い物がしたかったぁ!」
いや、レティシアのことだ。
ただのお買い物になるだろうよ。
「僕も一緒が良かったのになー」
ノアもお買い物という名の観察対象になるきがする。
「いや、こんなときにそんな話しているのってどうなんですか?」
リアムのもっともなコメントが間に入る。
そりゃそうだ。
「さぁ、持ち場に行きますよ!」
アレンに注意され、渋々散っていくノアとレティシア。
頑張れ。
「じゃあ、俺らも行くっすか?」
「りょ」
「その「りょ」ってなんすか?」
「了解のりょ」
「了解ってそんなに長い言葉じゃないっすよね?略してどうするんすか?」
「知らん」
「え、知らないのに……でも、副分隊長は気に入りそうっす……」
「そうなの?」
「あの人ちょっとずれてるっす」
いや、その台詞よく聞くよ。
私からすればそして最近知り合った方々は、ちょっとずれてる方々が多いよ?
とりあえず、私たちも出発。
今日のコンセプトは、『はじめてのおつかい』だそうな。
ちなみにこれも私の心の中での名称である。
ウォルターと二人で街で決められた道順で、買い物をして歩く。
そしてちょっと裏道に入って隙をみせる、みたいな手順になっているのだ。
私の頭の中では、♪ドレミファソラシド ドシラソファミレド と流れている。
はじめてなのにハードルの高いおつかいである。
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