滑り落ちるは本当の
知らない間に人でなし兼妖怪認定されていた。
そら関わりたくないわな。
「そんな中、交流があるのがうちのアレン班だった訳だ。護衛の話が出たときもこちらとしても顔見知りが行った方のが噂に惑わされないだろうし、嬢ちゃんの方だって知らないオッサンたちが行くよりも安心だろうからな。」
「オッサン……」
オッサン。
アレンたちが私より年上だけどオッサンだとは思ってないよ。
元気出して。
どちらかというとオリバーのがオッサン。
「そこ、オッサンに引っ掛かるんじゃない。話を続けるぞ。それで、アレン班に護衛についてもらったんだが……第一と第二が仲が良くないってのは知ってるな?」
首肯。
「嬢ちゃんに第一が突っかかってたのも実は、うちが原因の所もあるんだ。うちで引き受けたらそういったゴタゴタに巻き込んじまうのも分かっていた。護衛の時点で気を使ったつもりが、たぶん聖女様に第一が、うちが嬢ちゃんに付いたってのが決定打だ。相手がこれほどバカな行動に出るのも予想外だった。そこに関しては謝罪しかない。本当に申し訳ない。」
真面目な顔でオリバーが頭を下げる。
タイミングを合わせたかのようにアレンとリアムも頭を下げる。
別に謝ってもらおうとか思ってないし、謝ってもらうことでなにかが変わるなら受けるけど、変わらないでしょ。
原因絶対私にあるし。
首を静かに振ると、オリバーが続ける。
「こんなことが起こって「すみませんでした。迷惑ですよね、やっぱやめます」じゃ無責任すぎるだろう。こうなった以上最後まで責任をもたないといけない。だから、嬢ちゃんの身柄をうちが預かってもいいか?」
もう一度改めて問われる。
「……」
どうすればいいのかわからない。
そこに畳み掛けるようにアレンが続ける。
「たぶん、これからも突っかかってくる奴はいるでしょう。でも、うちの所属になれば、大っぴらに対応がしていけます。もし、嫌だと言うなら他の案を考えるんですが、どうでしょう?守らせていただけないでしょうか?」
私が事に巻き込んだんだよ。
たぶん、そっちの関係は関係無いよ。
そっちのが迷惑ですよね。
私のようなお荷物がいたら。
分からない。
こんな風に優しく問われた記憶など最近はとんとない気がする。
迷惑なら迷惑ですって切り捨ててくれたほうが親切だと思う。
なのに。
「それでも私はここにいてもいいの?」
知らぬ間に口から言葉が滑り落ちていった。
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