sideオリバー アレン 1
俺は団長の執務室を訪れていた。
ノックをすると直ぐ入室許可が下りる。
「失礼します」
「おぉ、アレンか。どうした?」
「実はご相談が……」
「……何か問題でも起こったか?」
「問題と言うほどではないのですが……」
「なんだ?歯切れが悪いな。まさか、彼女ができたとかか?」
おちゃらけた質問を投げられる。
「違います。もしそうだとしたら、相談にはきません。それに、まずはご自分のいい人を探した方のがよろしいのでは?」
「お前、失礼なやつだな。こう見えて結構モテるんだぞ」
「知ってます」
「じゃぁなんだ?本題に入れ」
「本日、アイナがうちの班に正式に入りました。本人は今、ウォルターとリアムと一緒に宿舎の方へ行っています」
「おう。なんだ?お前の班じゃ嫌だって言い出したか?」
若干、ウキウキしながら聞いてくる。
「そんなことは言ってません。それどころか団長が『自分預かりにしたがっていた』と伝えたら、呆れてましたよ」
「なんでだよ」
「問題は、そこではないんです……仕事をするに当たって服装は自由でいいと伝えたら……団服が着たい、と」
「はぁ?なんで?」
「それがお仕着せが好きらしく。自分も着たい、と」
「……普通、女ってのはやたらと流行の服をねだったり、とっかえひっかえ衣裳替えしたり、お洒落したいもんじゃないのか?」
「世の中の女性はそうなんでしょうが、彼女はそんなことは言いませんね。それどころか、服を考えるのが面倒だから、指定してほしい、と」
「男の騎士団希望のやつで服装に憧れてってのは、たまにいるが、女性は聞かんな」
「そうですね。考えてみれば召喚時、ハルトたちも正装っぽい服を着ていましたし、彼女も変わった服を着ていましたよね。向こうの世界では基本的に服装が決まっているのではないでしょうか?」
「なるほど。だから決まっている方のが楽だというわけか」
「で、どうしましょう?サイズを小さくして作るのは簡単です。しかし、多分……」
「うーん。似合わなそうだな」
「……そうですね」
体が小さく華奢だし、女性団員はズボンを履いているが、基本的には、女性がズボンをはく習慣はない。
「いっそのこと新しいデザインを考えるか?スカートで」
「……団長がですか?」
「ばかか、俺が考えるわけないだろうが。でも、まてよ?本人にさせても大丈夫なのか?」
「どうでしょう。お仕着せに並々ならぬ情熱はありそうですが、任せたら「お洒落」は全く無さそうですね」
「……その情熱を他に向ければいいのに」
全く本当にその通りである。
悩んでいると副団長が帰ってきた。
「おっ。良いところに!!ちょっと知恵を貸してくれ」
それから暫く、男三人で服に付いて話し込むのだった。
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