内見ツアー
案内された宿舎は、敷地内の隅っこに建っていた。
こちらは第二。反対側の隅っこに同じような建物があるらしい。向こうは第一。
「お嬢の部屋は、こっちっす」
歩きながら説明をきく。
「自分の邸から通っている人もいれば、ここに住んでいる人もいます。今は、ここに住んでいる人はそれほどいませんね。うちの班は、みんな住んでます。あと、例のガッツリ文官班も住んでいる事になっています」
「なっている?」
「……あいつらは、執務室に住んでるっす」
あー。なるほど?
「後、二班ぐらいですかね?人数は……俺らを入れても20人もいきません」
「意外と少ない」
「下っ端の下っ端は、住めないっすから」
なんだ?下っ端の下っ端って。
「言い方が悪い。騎士団の中で班わけがされているのは知っていますよね。その下に見習い騎士がいるんです。見習い騎士は自宅から通います。遠くから出てきている人は、街で下宿の形をとります」
リアムが補足説明をしてくれる。
ウォルター、見習え。
分かりやすい説明をしろ。
「食堂があるので食事はそこでとる人が多いです。」
「洗濯は?」
「洗濯は基本的に『ウォッシュ』の魔法ですね」
『ウォッシュ』か。
汚れを落とす魔法だな。
「ウォッシュ、知ってるっすか?ウォッシュはっすね……」
「知ってる。使える」
「(ちーん)」
すまん。せっかく説明してくれるとこだったのに。
でも、そこじゃないんだ、ウォルター。
違うんだ、ウォルター。
話ながら歩いていたら部屋に到着した。
扉の隣の柱には名前の書かれた札がぶら下がっている。
「ここですね。荷物はすでに運び込んであるそうです」
荷物って言っても大したものはなかったはずだ。
「それじゃあ、一回ここで解散っすね。後でご飯の時に食堂を案内するっす」
「僕らも部屋に戻ります。また迎えにきますね」
「因みに俺の部屋はあっち、リアムはそっちっす」
よくわからない説明をありがとう。
別に名札ついてるから困らないよ。
「また後で」
二人と別れて部屋の中にはいる。
結構広いな。
奥の右にベッド、反対には勉強机。
入って直ぐの左側にはクローゼット。
何となくクローゼットを開けてみる。
地味なワンピース群がいる。
……ご丁寧にセーラー服もいる。
ん?そういえばトイレとお風呂を聞いてない。
こちらの世界はシャワーや『ウォッシュ』で済ますことが多いらしい。
金持ちの家は、お風呂があるらしいが、シャワーで済ますなんて嫌だ、湯船に浸かりたい派の私には、大問題だ。
後で聞いておこう。
その時、タイミングよく、扉がノックされる。
お、ウォルターたちかな?
扉を開けると見知らぬ美人が立っていた。
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