食堂にて
食堂につくと大きめな机が視界に入る。
奥にキッチンも見える。
眺めていると、ヒョイと椅子に降ろされる。
「さぁ、着いたわ。ここが食事する場所よ」
「自分達で作ります?」
「そうよ。でもまあ、ちょっと前まで皆、自分で作るのが面倒で外に食べに行く事が多かったわね」
「朝はパンとフルーツで、ちゃちゃっと食べてましたが……」
「今は?」
「うちの班に新しく入った新人君が料理ができる子で、彼が作ってくれるの」
へー。そうなんだ。
なんて暢気に考えていたら、実はキッチンの奥にその彼がいたらしい。奥から人影が出てくる。
「彼、ソラって言うの」
お互い、ぺこり。
紹介された彼は、寝癖かと思うほど髪の毛が自由に跳ねていた。
悪いとは思いつつ、まじまじと髪の毛を見てしまう。
「基本、喋んないけど悪い子じゃないわよ。で、何が食べたい?」
「え?」
「だから、好きな食べ物なーに?」
好きな食べ物……
クッパとかうどんとか?
あと、唐揚げとか。
でも、こちらの世界にはなさそうだよな。
だって、今までパン食(スコーンとかクロワッサン、バターロールとか)だったし、お肉、お魚を焼く(ムニエルっぽいの含む)が多かったし。
こっちの基本がわからん。
私が食べてたの、貴族食かもしれないし。
悩んでいるとパタパタと足音が近づいてきた。
「あー。いた、いた!良かったっす」
ウォルターとリアムだった。
「部屋にいないからどうしたのかと」
「すみません。うちの分隊長が……」
「あ、エドさん……お疲れ様です」
「っす」
「で、今日の晩ごはんの相談中です」
エドワードが端的に説明をする。
「で?どうなったんすか?」
「で、どうなの?」
キラキラとした目でウォルターとレティシアが見つめてくる。
この二人、同類なのか?
「質問です」
挙手すると、
「なーに?」
と、暢気な返事が返ってくる。
「パン食です?」
ざっくりな質問をする。
「んー。貴族はパンが多いわね。でも、普通にご飯も食べるわよ?昔いた勇者がご飯が大好きだったらしくて、食事処は大抵ご飯よ」
「それじゃあ、丼物とかはあるのか?(ぽそっ)」
「ん?今なんて?」
「麺類は?」
「メン?はちょっとわからないわ。」
ガックリ。
「油で揚げるとかは?」
「しないっすね」
「ほぼ、焼くか煮るですね」
なるほど。
じゃあ、好きな食べ物リクエストは無理かな?
食文化が違うみたいだし……
まぁ、元々少食だし、ご飯にあまり興味もないからそんなに食べなくても生きていけると思ってるし、最近食べてもすぐ吐いてたし、特に困ってはいないのですが。
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