今日の料理

「で、どうする?」


 うーん。

 ここは無難に……適当に?


「もしかして、食文化が違います?」


 さすが察しのいいリアムだ。

 このやり取りで気づいたようだ。


 でも、ここで「食文化違うから、作れないと思うよ」って言ったなら嫌なやつだし、「だから全然食べなかいの?」とか「なんで先に言わないの!」とか言われるの嫌だなぁ。


 やっぱり無難に……


「こういうときは、素直に答えた方のが今後に役立つと思いますよ」

「……そう、ですか」


 リアム、目が怖いよ。


「あら。だったら早く言ってくれればいいのに~」

「どんなものがあるんすか?」

「野菜スープにご飯入れる、お肉に味付けて油で揚げる。味をつけたご飯を薄焼き卵でくるむとか?」


 うーむ。あまり、食に興味がないため、ぱっと料理が出てこないし、作り方を教えてと言われても細かくはわからない。


 調理実習で作ったものならわかるけど。


「え、美味しそう」

「食べてみたいっす」

「(じとーー)」


 え、なんかソラにめっちゃ見られてる。


「ソラが興味を持ってる……そして心を開いてる……」

「エドさん、どこに感動しているんですか?」


 なんか、カオス……どうしたら?


「何か試しに作れませんかね?」


 皆のまとめ役、リアムが場を仕切ってくれる。

 たぶん、普通だったらその役はエドワードなのだろうが、今回に限ってはエドワードは使い物にならないようだ。


「試しにって……?」


 うー。試されている、のか。


「……例えば、タレみたいなのがありますか?」


 言った瞬間にソラが猛ダッシュでキッチンへ戻り、直ぐに小皿をもって帰ってくる。


「……」

「あぁ、これフルーツと香辛料がはいってるやつね」

「舐めても?」

「(首肯)」


 ぺろっ。

 あ、おいしい。焼肉のたれっぽいやつだ。


「薄く切った牛肉にこのタレを揉んで焼くとか?」


 なんちゃって焼き肉丼もどき、みたいな?

 いや、でもこれまでそういった食べ方をしていなかったら、ちょっと抵抗があるかなぁ。



「「「お、美味しそう!!」」」 (ごくり)

「ちょっと、ソラ。早速作ってみて!!」

「もし手伝うことがあったら言ってほしいっす」


 若干、適当に言ったのに……皆がノリノリになったのを見て、不安になってきた。吐きそう。

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