ただの団員の独り言2

 場所を移動し、今回の件に関して詳しい説明をしている最中も勇者様方は、反応はバラバラだった。


 勇者様は、ヤル気満々な顔をしているが、騎士の彼は戸惑うような表情で話を聞いている。

 聖女様は時おり首をこてん、と首をかしげ、隣の騎士の彼がポソポソと説明をうけ、笑顔を返しながら話を聞いている。

 あの子は、聞いているのかいないのかわからない。

 召喚から今まで表情が変わらないのだ。落ち着いている、と言えばそうなのかもしれないが、見た目と表情が合っていない。

 普通に可愛らしい子なのにそれに合った反応や表情がないのだ。


 そういった訓練でもうけてきたのだろうか。


 話が進み、ご自分たちの能力を確認しようという話になったところで、王太子様が入ってこられた。


 すると、なんと聖女様と見つめ合い、なんとも甘い雰囲気が……


 うわー、目の前で繰り広げらるとどうすれば………


 視界に入ったあの子の光を宿さない目がよけい冷たくなったような気がする。


 初めての反応がそれってどうなの?

 いや、見間違えの可能性があるな、うん。

 しかし、その後のが衝撃だった。

 元の世界は20歳が成人で勇者様は、成人している、と。


 そのあとに自分も成人していると申告したのだ。


 え?


「「15歳?」」


 うそぉ!10歳ぐらい、よくいって12歳位かと思ってた。


 彼女もそういった反応になれているのか服のポケットから紙の束みたいなのをだして、騎士の彼に見せる。


 何かの証明書なのか15歳とわかるらしい。

 そのあとに勇者様が近づくと明らかに避ける仕草をする。

 今まで対した反応を見せて来なかったので違和感があった。


 次に、「役に立たないから出てった方のがいいか?」との趣旨を聞かれたときには、その場で発言できる大人が慌てて却下する。

 この国で黒髪黒目は珍しい。

 それに、見た目12前後の華奢な女の子を予備知識もなしに外に放り出すのは流石にまずい。


 お偉い様方が必死に説得し、暫く王宮に滞在してもらうことになった。

 なんともいろんな意味で変わった子だった。

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