凶器の出処
「魔法がだめなら物理的ならオッケーかなと?」
「だから、相手に突っ込んだと?」
「……はい」
「次です。何故、刃物を持っていたのです?」
「癖で」
「いったいどんな癖ですか!!」
「いつもポケットに入れていたんです。何かあった時の自衛のために」
刃を向ける先は、予定とは違ったけど。
「……誰をに向けるつもりで持っていたのですか?」
ここでしらばっくれれたらよかったのになぁ。
そんなに真剣な目をして、真っ直ぐ聞かれたら嘘なんてつけれないじゃん。
「……自分に」
やはり、長く深いため息をつかれてしまった。
私にも知りたいことがある。
この勢いで聞こう。
「私も聞きたいことがあります。あの剣はどこから?」
「あれは、氷魔法で創ったものです。今日は剣を持っていなかったので。しかしあれは緊急用で、デメリットのが多いのです」
「デメリット?」
「まず、強度が普通の剣より脆いです。それに溶けてくれば滑るし柄まで氷なので冷たく、長く掴んでいると手を怪我します」
凍傷かな?私は冬によく霜焼けになるけど。
「あと、もちろん冷たいので手元が狂ったり、冷たさで集中力が長続きしなかったりします。」
なるほど。
「最終手段なので、真っ向から戦っている時に出すわけにもいかなかったのですが、こうなるのなら出し惜しみをしなければ良かった」
「でも、なんとかなりました……」
なんとも言えない顔をされる。
くっ。だめか。
では、次の話題で。
「闇落ちは?」
「そうですね。ちょっと場所を移動しましょう」
周りを見渡せば検分は終わったらしく、人たちはまばらに解散していっている。
確かに何時までも薄暗がりで黒い血溜まりのあるここにはいたくないよな。
人の流れに乗りながら移動をして、ついた先は街中にある建物だった。
アレンはそのまま中に入っていく。
「お邪魔します」
そーっと後ろをついて入っていく。
中には何人かの人がいた。
感覚としては派出所的な?
私たち、と言うか、私ぼろぼろだけど大丈夫なのか?
幸いにも、中にいた人たちは私たちを見て、一瞬怪訝そうな顔をしたが直ぐに思いあたったようなそぶりを見せる。
私には、心当たりはないのだが。
アレンは、中の一人と話をして、まとまったらしく奥に進んでいく。よくわからないが選択肢がないので、ついていく。
奥は机が一つと椅子が四つ置かれた簡素な部屋だった。
そこに向かい合わせで席につく。
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