次の日

 目が覚めると自室の布団で寝ていた。

 記憶をたどるが布団に入った記憶はない。

 食堂で話をしていた後の記憶がないのだ。


 え、まさかの寝落ち!!

 図太すぎるだろ、自分。

 でも、久方ぶりによく寝られた気がする。


 着替えて部屋をでる。

 キョロキョロっと廊下を確認。


 よし、誰もいない。


 こんなにもバカみたいに泣いた記憶はないため、目が腫れているのを、先程鏡を見て知ったのだ。


 そーっと部屋からでようとすると……


「なにしてるんです?」


 小さくジャンプするほど吃驚して、油の切れたロボットみたくギギギ、と後ろを向くとそこにはリアムが立っていた。


「あ、おはよ」

「……」


 無言でじっと見てくる。


 どうした?


 突然手を引っ張られて食堂まで連れていかれ、座らされる。

 そしてリアムは、どこかへ行ってしまう。


 なんだ?


 しばらくすると冷たいタオルを持って帰ってきた。


「ん」

「どうも?」


 やっぱり目が腫れているのが気になるのか。

 もらったタオルを見つめる。


「……目、冷やした方がいいですよ」


 知識としては知ってはいるが、本当に冷やすのが正解なのだろうか。

 疑問に思いながら目元にタオルを当てる。


「……これで引くのか?」

「詳しくは知りませんが、そういう話を聞いたことがあります」


 さいで。

 わからない二人で首をかしげながら、暫し無言。


「普通に話せばいいのに」


 ポソッと言った言葉に返事がくる。


「どういう意味です?」

「リアムって怒るとため口になるでしょ?それが本来の口調だよね。言い換えるのめんどくさくない?」

「別に……」


 ちなみに私はめんどくさいから、最近タメ口になってるよ。

 まぁ、どっちでもいいけど。


「いいのか?」

「はい?」

「その、砕けた口調でも」

「どちらでも」

「なんなんだそれ」


 ふふっとリアムが笑う声がする。

 タオルをずらしてリアムを見る。

 いつもと同じ顔をしたリアムがいた。


 惜しい。

 レアなリアムの笑顔が見られなかった。


「なんだ?」

「別に……あれ?今何時?」

「あぁ、お前出てくんなって分隊長からの伝言」

「なんで?」

「逆になぜ出ていこうとする。ちなみに、お前が入ってから仕事が進むから心配しなくても大丈夫だぞ」


 単純に人手が増えてるわけだからねぇ。


「で、その手の怪我はどうしたわけ?」


 ん?言ってなかったっけ。


 んんん?


「あ!!!!」

「な、なんだよ。急に大声出すなよ」

「ごめん。でも、モヤッとボールのこと忘れてた!!」

「モヤッとボールってなんだ?」


 ですよね。

 説明しようとしたらリアムに止められた。


「それ、俺だけで聞いたら処理に困るやつだろ。聞きたくない」

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