デコピン

「そこは普通話を聞くんじゃないの?」

「いや、やめとく……色々と面倒そうだからな」

「なにが?」

「お前さ、分隊長のこと、どう思ってる?」


 なぜ急にアレンが出てくるのだ?


「うーん?」


 これで求められてる答えって、上司っていう答えじゃない、よな……それはわかるよ。


 面倒見のいいイケメンさん?

 細身で身長あるのいいよね。スーツ似合うし。

 でも、キラキラ笑顔を私に向かってしないでほしい。

 あれは、キラキラ耐性がない私にはきつい。

 見ている方が恥ずかしい。


 私の答えを聞いたリアムは、なぜか可哀想な目で私をみてくる。


 なんだよ、お前が聞いたんじゃん。

 真面目に答えたのに……


「じゃあ、副長は?」

「ノア?そうだなぁ……」


 ノアは……女の子好きな残念紳士かな?

 あと、ちょっと抜けてると言うかなんというか。

 あー、あとは無駄に絡んでくるのも止めてほしい。

 良いところ?

 えー、あっ。スーツ!似合うよね。うん、うん。

 スーツの似合う人は好きだよ。


 私の返事に今度も微妙な顔をしている。


 ……本当になにがしたいの?


「じゃぁ、最後にウォルターは?」

「ウォルターは……犬?」

「人間じゃなかったパターンですか……」

「いや、なんかさ。ぱたぱたしっぽを振って来そうだから……」


 イメージ的には柴犬かな?


「まぁ、わからなくもないな」


 わかってもらえて良かったよ。


「これを答えると何かなるの?心理テスト的ななにか?」

「特には……ただの興味と確認」

「?その確認にリアムをいれなくていいの?」


 みんなの名前が上がるのに一人、仲間ハズレにしているので何の気なしに聞いてみる。


「俺は……いい」


 スッと視線を逸らされる。


「リアムは、いい人だよね。何だかんだいって優しいし」

「もうそれ以上、口を開くな」

「照れた?」


 昨日、レティシアにやられたことをやってみる。

 にやっと人相の悪いであろう笑みを浮かべる。


 すると。


「いたっ!」


 でこぴんされた。

 おでこを押さえながらリアムを睨む。


「自業自得だろ」


 まぁ、そうなんだろうけどさっ。

 脳みそが揺れた気がする。

 これでおバカになったらどうしてくれるんだ。


「ぐぅ」

「それ、赤みが引いたら説明しに行った方がいいぞ」


 そうします。

 おでこと目元を冷してから、アレンたちにに説明するため執務室に向かうのだった。

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