進路希望調査

 いちゃこらしている二人はほかっておいて、とりあえず話を進めようよ。


 近くにいた人に成人の年は幾つなのかを大学生が聞いている。


「14歳で成人です。社交デビューの年と一緒です。」

「そうなんですね。向こうの世界は20歳だったので、成人してるのは僕だけだったけど」


「あぁ、私も成人してるんだ」


 ぽそりというと全員の視線がこちらに向く。


 あ、もちろんいちゃこら組は別世界だから、気にしてないよ。


 え、一斉にこっちを向かれると怖いんだけど。


「「14歳?」」


 あぁ、そこね。

 ちびですみませんね。

 あと、人を指差しちゃいけないんだぞ。


 きっと信じてもらえないであろうから、セーラー服の胸ポケットから生徒手帳をだす。

 最初のページに生年月日が書かれている。

 まだ若干落ち込みぎみの隣りにいた男子高校生に見せる。


「あぁ、ほんとだ。15歳だ。」

「えー。僕にも見せて!」


 大学生が手帳を見ようと近づいてくる。

 さっと胸ポケットに手帳をしまい、一歩後ろに下がる。


「なに?僕、なにもしてないよ。その行動、地味に傷つくんだけど」


 ごめんなさい。

 今までであった男子は、「最低限の話をする」か「意地悪目的」かのどちらかしかいなかったもので……

 あと、人見知りが発動した。


 ちなみに私の中での判定は、前者が男子高校生、後者が大学生だ。

 さて、今後この人たちは、魔物の討伐に行くのだろうけど、私はどうするの?

 やりたいこと、進路希望はハッキリと伝えましょうって担任が言ってたな。


 死にたいけど、死に方は選ばせてほしい。


「あの、私は魔物討伐に行きますか?」

「うむ。成人済みといえど、突然魔物と戦えなどとはよう言わぬわ。」


 とりあえず、このまま頼み込んで城に住まわせて貰う?

 城のが便利なんだろうけど、こんだけ人が沢山いるところは、全然落ち着かない。

 じゃあ、街で?

 一人暮らしなんて無理だよな。


 すぐに出ていくのは流石に危ないからと、しばらく城に住んで、こっちの常識などを教えてもらうことになった。


 で、もし出ていくことになったら、また詳しく話しましょうと言うことで話がまとまる。


 綺麗にまとまったけど、本当に約束を守って貰えるかわかんないよな。


 別にいいか。

 どうせ、私が生きていても死んだとしても明日は変わらずやってくるのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る