初勤務
制服プロジェクトは、まだ始動したばかりということで私服で出勤することとなった。
今日の仕事は、書類の整理。
項目別、日付け順、部署別などなど別けていく。
こういった地味な作業、楽しいな。
ひたすら黙って机に広げた書類を捌いていく。
私は事務机がないため、応接セットで仕事をしている。
意外にもウォルターが仕事が出来ていて驚いたり、時にはみんながちょっと雑談をしたりしながら時間が進んでいる。
やはり、アレンとリアムは、ちょっと話に参加したり、相槌を打つことが多かった。
「お昼にしますか?」
そして、特に何かが起こることなく、午前中が終了する。
お昼ってどうするんだろう。
頭にはてなを浮かべていると、ウォルターが説明をしてくれる。
「食堂でたべるんす」
「その説明だとわからないと思うぞ。あのですね、王宮で働いている人用の食堂があります」
いつものリアムの突っこみ&説明。
あ、なるほど。宿舎のほうの食堂に戻るのかと思った。
「んじゃ、案内するっす」
そこまで来て、黙っていたアレンが口を開く。
「食堂で作ってもらってきて、こちらで食べますか?」
突然の提案にビックリする。
どんなメニューがあるのかわからないし、それ以前にテイクアウトシステムあるの?
「普通はしませんが、まぁ、出来ないことはないです」
なんだそれ?
はてなを浮かべる私とウォルターにちょっと笑いながら、ノアが声をかけてくる。
「心配してるんだよ~。沢山の人が集まるところだし、きっと目立つし、ね」
あ、そういうこと。
そりゃそうか。きっと私だけだったら、食堂に近づいてから気づくパターンだった。
最近、優しくされ過ぎて、自分が嫌われものだということを忘れていた。
この人たちは、とっても優しい奇特な人たちだった。
一人納得しているときに、皆が複雑な顔をしていることには気づかなかった。
でもよく考えたら、別に昼ごはん食べなくても生きていけるくない?
お腹空いてないし。
「いらな」
「ノアたちは食堂に行ってくれ、で」
「僕が三人分もらっってくるよ。あっ、二人分で僕が帰ってきたらアレンが食べにいけばいいか!」
「……三人分だ」
勝手に話はまとまったらしい。
最後まで言わせてもらえなかった。
「飯かパンかどっちか選んで……あとサラダとスープが付くのと、メインが三種類ぐらいから選べるよ」
「三種類が日によって変わります。今日は……」
説明によるとハンバーグみたいなのか、焼き魚みたいなのか、ハーブのかかった焼いた肉みたいなの、らしい。
これといってピンとこないし、やっぱり食べなくても大丈夫な気がする。
「やっぱりいらな」
「お試しで頼んでくるね」
私の返事を聞く前にノアたち三人は出掛けていった。
絶対わかってて話を遮ったよね!?
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