お出かけ
お休み当日。
結局、何を着ていくのかなんて悩むだけ無駄で、クローゼットの中に入っていた空色のワンピースを着ていくことにした。
なんだっていいんだよ、私服なら。
手近なやつでいいや。
そして、上着として、ポンチョを着る。
これくらいは見逃してくれ。
どうにか予定がキャンセルにならないかと願ってみても無駄なのは知ってる。
だからといってドタキャンするという選択肢も持ち合わせていない。
もしかしたら「え?約束本気にしてたの?」とか待ち合わせに行ったら誰もいない、日付勘違いとかだったらどうしようとか不安になるので、重い足を引きずるようにして食堂にいく。
食堂では、ちゃんとアレンが待っていた。
もちろん、アレンも私服だった。
それはもうかっこよかった。
裾の長めで薄い生地のジャケットに細身のズボン、身長のある人は何着ても似合うよな。
「おはようございます」
爽やかに挨拶をされる。人の気も知らないで。
いいなー。スタイリッシュな人は。
身長がほしい。
「…おはようございます」
「どうしました?」
「別に」
可愛くない答えを返してしまった自覚はある。
とりあえず街へ出発した。
街に着くと久々にみる人にびびる。
被っているポンチョのフードをずれていないか無駄に確認してしまう。
「何かのイベントですか?」
「いえ、普段からこの大通りはこれくらいの人出です」
わー、まじか。引きこもりにはきついかも。
「迷子なったら大変なので、手でも繋ぎますか?」
突然のアレンの提案に真顔で「は?」と聞き返してしまう。
アレンは傷付いたみたいな、悲しそうな顔をしている。
いや、そんな顔してもダメだからね。
繋がないよ。小さい子じゃないんだから。
「どこから行きます?」
とサクッと出発することにしよう。
「ぶらぶらしてみます?」
本屋に行きたい気持ちもあるが、特定の本が欲しいわけでもない。
手近にあった店を覗く。
どうやら香水を売っているらしい。
しかし、興味がないのでパス。
次は、アクセサリーを取り扱っている店。
ネックレスやイヤリングなど色々おいてある。
キラキラしたきれいな物を見るのは好きだが自分で着けようとは思わない。
しかも、値段がすごいよ。零がたくさんついてる!
それを見た瞬間、その場にいるのが怖くなった。
もし、何かがあって壊しでもしてしまったら大変だ。
さっさと出よう。
ていうか、ザ・女子みたいな店ばっかり案内されるな。
しばらく歩いていると久々の外を歩いたことと人出で疲れを感じてきた。
「休憩しますか?」
特に何も言ってないのにバレた?なんで?
「今日は、いい天気なのでのどが乾きませんか?あそこの店のジュースは美味しいらしいですよ」
バレてなかった。
安心してジュースを飲むことにする。
ちなみに、オレンジジュースがあるのなら、それ一択である。
アレンが奢ってくれると言うのでお言葉に甘える。
美味しくジュースを飲んでいると「あら?あなた、アレンじゃない?」と声をかけられている。
「あぁ、お久しぶりです」
どうやら知り合いに会ったらしい。
別に話をして構いませんよ、と目で合図を送りしばらくジュースを堪能することにした。
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