面倒事の予感
その後もいろいろと質問をされたが、特に深い意味もなく魔法を使っていたため話すことがない。
しかし、どうも私を説教するために話を聞いている訳ではないらしいことは分かった。
一言、「王宮内でも出歩くときは、誰かお供をつけて下さい」と言われた。
監視されろと言うことか。
そりゃぁ、自分達が呼んだ異世界人だけど、よそ者だからな、と納得する。
他に話は?と首を傾げると、深いため息と共にアレンさんが説明をしてくれる。
「まず、貴女と共に此方の世界に来た方たちが今何をされているかご存知ですか?」
「いいえ」
引きこもっていたし、外の情報を持ち合わせてはいない。
元の世界でも他人と交流がなかったため、私だけ知らないことがよくあったなぁ。
でも私と一緒な感じじゃないの?
勉強をしてるんじゃなくて?
「まずはヨシムネ様ですが」
「待ってください。ヨシムネは誰?」
話を止めてしまって申し訳ないが、あの時自己紹介してないから、勇者か騎士のどっちかがわかんない。
私の質問に一瞬、二人が「え?」と顔を見合わせるが、すぐに説明してくれる。
「勇者である、
大納言さんで思わず笑いそうになってしまって、話が入ってこない。
此方の人は疑問を持たず、真面目な顔をして呼んでいる、大納言さん、と。
絶対本名じゃないだろう、それ。
「最後に聖女である、
そこで一回止まってしまう。
なに?じゃじゃ馬すぎて手が付けられないとか?
すこし悩んだ風もありつつ口を開く。
「勉強が余りす進んでいません。聖女様のカリキュラムは、立ち振舞いなど淑女としての勉強が主ですが、少し気分屋な所があるようで教師陣が手を焼いています。そのかわり、アルフォード殿下と仲睦まじく過ごしている姿もよく見られます。仲がよいことは悪くはないのですが」
気分屋、ねぇ。
私も人の事を言える性格ではないけど。
「ちなみに聖女様付きの世話係は入れ替わりが激しくて、特に距離の近い者は3日と続かないらしいっす」
え、それは速すぎないか?
私についてくれてる人は、変わってないと思う。たぶん。
「気分を損ねると当たり散らされるらしいのです。しかも表だって何か危害を加えられるというよりも陰湿のようでして………」
でしょうね。
「また、殿下がついているので、こちらからも下手に意見することができず、被害の実態もなかなか掴めないのです。ご令嬢たちとのお茶会なども今後増えて行くであろう、とのことで今聖女様付きの間では方針をどうしていくかが議題です」
なるほど。で?
「しかし、先日魔法について、興味をもたれまして」
だめだ。面倒な予感しかしない………
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