第61話 三日目午後
一時丁度にピンポン進入をかましてくる金髪天使さん、時間に正確な人って素晴らしいよね、出来れば鍵を勝手に開けないマナーも覚えて欲しいな。
「お邪魔します」
そう言って金髪天使さんはまず僕姉さんと話をしてからこちらに来た、サキュバスさん達と仲良くなったの?
「じゃぁ僕は帰るね、またねご主人ちゃん、また一緒にネバネバしようねー」
そう言って俺の手をとって甲にチュッっとキスをして帰っていく僕姉さん、ちこっと吸われたな。
ネバネバ? と何やら不審げな顔をしている金髪天使さん。
爆弾を置いていかないでください僕姉さん、言葉が少ないのは誤解の元ですよー。
「いや、今日のお昼ご飯がネバネバ系の食材を使った物とかが多かったんですよ、ハハ」
なるほどー確かにメカブとか美味しいですものね、と納得してくれた金髪天使さん、ネバネバ食材で最初に出てくるのがそれなのね、三陸海岸あたりの出身ですか?
「では今日も揉みをお願いしますね、モミチロー先生」
「了解しました、匠師匠に教わった螺旋の極意をお見せしましょう」
動画を見ただけだが勝手に師匠呼びをする俺だった、いやだってあの人の動画が一番勉強になるんだもの……何故か再生数が少ないのが不思議だが。
――
いつもの通りに寝てしまう金髪天使さん、寝てる時はいつものキリっとした美人顔じゃなくて子供みたいな笑顔だよなこの人。
そて次のお客さんはっと。
――
黒と白を基調としたえーと、ゴシックロリータ? よく知らない不勉強者ですいませんが、それはどういった物なんでしょうか? ふむふむ、なるほど、本来は別な物? はー、日本独自の、そんなに種類が、あの……まって……早い早い……早口過ぎて聞き取れないですからー……ゆっくりー……、あ、はい、
――
応援ありがとうございます、モミチローをモミチローをよろしくお願いします、応援ありがとうございます、握手ですね、はい、では次の、次の、次の、あの、次の方も待ってますので選挙では、はいここは選挙演説の会場じゃないですね、あの三十秒、あいえ、一分でお願いします……。
――
ほぇ? あ、ああ、ただいま帰ったぞ、うむ、出迎えご苦労、メニューとな? この一緒に撮影できるというのは? なんと、それは素晴らしい、ではその萌え萌えジャンケン撮影という奴を、あ、
一日四枚として、氏族が千人以上? さすがに本当に全員来たがってる訳も無いし、半分として……百日ちょいか、三年あればコンプ出来る!
うん三年でコンプとかソシャゲなら普通だって同級生の誰かが言ってたような気がする。
――
はい、握手ですね、応援ありがとうございます、あれ? あいや、短いし普通だなって、いえいえ何でも無いです……あの? この後ドッキリとか無いですよね?
――
ほどなく全ての揉みを終え、天使さん達はやっぱり仕事があるからと帰って行った、忙しそうだよなぁ……昨日の堕天コスの人ブラックすぎて本当に堕天しかけてたって事は無いよね? ……無いよね!?
またここに来たら一杯揉み解しで癒してあげたいと思いました。
――
「はい一枚いきまーす、ふむふむミニハットと言うんですね、はいもう一枚、小さな薔薇飾りが付いてて可愛いですね、そこで振り返ってくださーい、おっけー、魔女っぽいメイクを? 地獄にいるサキュバスならお手の物ですね、はいそのポーズ最高です! ふむふむパシャリ、精神性が大事なんですねぇ勉強になります、じゃ最後の一枚いきまーす! 一番可愛いと思うポーズで、はい! 男を墜とす一枚きたこれ!」
パシャパシャとゴスロリの説明を受けながら遠慮なく撮る俺。
「ありがとうございましたー」
――
「萌え萌えジャンケンジャンケンポン! あー負けてしまった、え? 撮っていいの! 貴方は天使だ! いや最高のメイドカフェ店員だ! パシャパシャ、もっかい? 萌え萌えジャンケンジャンケンポン! いよっし勝ったぁぁぁ! ポン子撮ってくれ、え? もっと近くに? いやそれは恥ずかしいので、はいぽーず、ありがとうポン子、いやー最高だね、え、なん……だと……夜の裏メニューなんてものがあると!?」
パシャパシャと遠慮なく撮って撮られていく俺。
「ありがとうございましたー」
夜の裏メニューは
――
サキュバスさん達が転移で帰った後に残っている金髪天使さん。
「監視ご苦労様です金髪天使さん、ご飯一緒に買いにいきますか?」
「はい、ご一緒させて貰いますねモミチロー先生」
ポン子はまた留守番すると言い出した、多すぎると釣れないって何の話やねん?
ポン子と金髪天使がお互いを見た後に説明してくれた。
「え、それじゃぁこないだのおっさんを警戒してたの? 金髪天使さんは護衛? うわぁ……それはまた申し訳ないです……」
「いえ、私がやりたいからやっている事ですので、おかまいなく」
「そんな訳にいきませんよ! なにかお礼をしますのでお金でも何でも言って下さい金髪天使さん」
守ってくれていたなんてなぁ、お礼をしないと気がすまんでしょー。
金髪天使さんは最初遠慮していたが何かに思い至り、そっと口を開いた……。
「何でもというなら、そ、その、護衛の為にですね……そう、護衛の為に! ……腕を組んで歩いてもいいでしょうか? そのですね守り易いんです! そのほうがすっごく守り易いんです!」
腕を組む? まぁよく施設の子らと腕を組んだり手を繋いだりしてたしかまわないけども、腕を組むと守り易いのかぁ、そんな物なのかな?
「それはかまわないですけど、お礼では無いですよねそれは」
「あ、そのお礼はやっぱりいらないというか、もう貰えそうだというか……」
顔をうつむけボソボソと言う金髪天使さん、もうお礼を貰っているらしい? 誰から? ポン子から? 割引とか?
何故かポン子とリルルの目が冷めているように見える、どうした君ら、守護してくれる人にその目は頂けないぞ。
「そういや俺を守ってくれるのなら、まるで金髪天使さんが俺の守護天使みたいですね」
そう笑って冗談を言った俺、まぁうちにはポン子がすでに居ますけどね~と続けて言った。
顔をあげた金髪天使さんは真剣な顔で言った。
「モミチ、いえ一郎君、別に守護天使は一人とは決まってはいないんですよ? 何人でもいいんです覚えておいて下さい、それと冗談でそういう事を言ってはいけません、いいですね? 次に言ったら本気とみなします、言質とりますからね?」
「はい、えっともう冗談のネタにはしません、すいませんでした金髪天使さん」
頭を下げて謝っておいた。
やっちゃったなぁ、守護天使は天使にとって冗談のネタにしていいような事ではないんだろう、金髪天使さんの前ではもう言わないようにしとこう。
「判ってくれたならいいんです、次は本気でお願いしますね、では一緒に腕を組んで買い物に行きましょうモミチロー先生!」
そう言って俺の腕を取り引っ張っていく金髪天使さん、あ、ポン子リルル行ってきまーす。
俺丼屋に向けて歩く俺と金髪天使さん、俺よりちこっと背が高いクール美人と腕を組んで歩く、これはもう俺はイケメンのリア充と言っても過言では無いのでは?
イケメン関係ない? そうですね、リア充は残るからよし!
そんな道行もすぐ終わってしまった。
俺達の前に現れたハゲの中年に前を塞がれて、てかなんだこいつ狭い歩道で真ん中に居ると邪魔なんだがなぁ……。
ハゲの中年が話しかけてきた、てか目が片方濁ってるなこの人。
「よう山田一郎、俺が死にそうな目に合ったってのに美人を
濁ってない方の目線が気持ち悪い、ニタニタ笑う顔も吐き気がする、一般人相手だと金髪天使さんも手が出せないだろうし、モバタンで通報ってやべポン子に持たせてるんだった……。
ってあれ? ん? んん? このおっさん、よく見たらこないだのおっさんじゃんか、イメチェンし過ぎだろ。
てことは金髪天使さんも手を出せる相手? ……ふむ……まだ手を出さないのは?
取り合えず、前回と同じ対応でいいのかな? 表情を変えないようにしてっと。
「ナニカ……ヨウデスカ?」
それを聞いたハゲ中年おっさんは片目を光らせて。
「ふんっ、かかったままか、まぁいい、お前はこれから上級ダンジョンに行ってコアを目指せ、誰かに止められても無視をするか止めた相手を攻撃しろ、それと横の女! お前は俺についてこい遊んでやる」
ミシリと俺の腕が鳴った気がした、ちょっイタイんですけど金髪天使さん、ほどなく腕を離してハゲ中年おっさんに近づいて行った、何かすごい怒ってる気がする、怖い。
金髪天使さんが魔法を使ったのが判る、周囲の気配が遠ざかったような? 認識阻害とか人払いとかそんな感じの結界かな?
そして中年おっさんが光の鎖で捕縛されてる。
「いつもなら頼んでも無いのに悪党と悪魔がわらわらと私の前に出てくるのに! 昨日来て欲しい時は来ないで、なんで今日のこの瞬間に来るんだ! せっかくの腕が……くぅぅ、私はいつもいつもこうだ! 悪魔の力を目の前で行使したんだ、言い訳は聞かん処理させて貰う」
金髪天使さんが魔法モニターを出して操作すると、すぐに二人の天使が降りてくる、援軍が側に居たのかね、ハゲ中年おっさんを確保しようとしている。
ハゲ中年おっさんは狼狽して大きな声を出す。
「な!? 天使だと! くそお前は気づかなかったのか!?」
『すまん相棒、気配を消されていたようだ、嵌められたな、すまんが俺は先に地獄へ帰るぜ、あばよ相棒』
何処からは声が聞こえてくる、ハゲ中年おっさんの腹話術か? 芸達者だな。
「ま待て……くそっ××××」
ハゲ中年おっさんが何か唱えると鎖で捕縛されている懐から巻物の様な物が出てきてそれが開く、巻物が燃え出し、ハゲ中年おっさんが消えていった、あれは転移か?。
二人の天使と金髪天使さんは慌てていて。
「魔道具? いや神具だと!? 虐げられた駒として使われていると情報にはあったではないか、なぜそんな貴重な物を……くぅ……」
金髪天使さんは天使さん達と少し会話をした後に俺に近づき。
「申し訳ない逃がしてしまった、私は今回件の責任者としてあれを追いかける、向こうはルールを犯したのでこれからは遠慮なく処理が出来るからもう大丈夫だ、モミチロー先生には一応この天使が買い物から家まで護衛をする事になる」
そう言って横にいた一人の天使を促したが、そこに。
ポニテ姉さんが通りかかる。
「あら、二人してどうしたの?」
仕事終わりだろうか、買い物袋を下げている、さっき金髪天使さんが結界っぽい魔法をかけたはずなんだが……気にせず近づいてきたなこの人。
金髪天使さんは、ハゲ中年おっさんを追いかける事を説明した、ポニテ姉さんは人手、いや天使手はいくらあってもいいだろうと護衛の人も追手に加わるように言い、護衛は自分が引き継ぐと言い出した。
いやしかしと反対していた金髪天使さんだったが、ポニテ姉さんがここで時間を食えばそれだけ捕まえるのが遅れると説得をしている。
「うぐぐっ、すまない急いで追いかけないといけないので詳細は終わったら報告しに行きますモミチロー先生、ポニ子殿後はまかせますが、くれぐれも間違いはおこさないように! では後程」
そう言い放ち、もう二人人の天使と一緒に飛んで行った。
残ったポニテ姉さんと買い物に行く事に。
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