第101話【閑話】サキュバスの集い3

 

 そこは地獄、サキュバスの一氏族が治めている土地だ。


 大きなお屋敷の大広間に机と椅子が一つ、そこにポニーテールのサキュバスが座り、その前にサキュバス達が並んでいる……ずっと並んでいる……果てしなく並んでいる。



 ポニーテールのサキュバスと並んでいるサキュバスが握手をする、そして一定時間が来ると握手を辞めさせるお付きのサキュバス。


 ポニーテールサキュバスがお付きのサキュバスに向けて呟く。


「ねぇ……この吸精握手会いつ終わるの?」


「噂を聞いた周辺の氏族からも来てるし……あと十時間くらい? あ、五秒で交代でーす」


「おかしいわよね!? さっきの子とか一回握手した子だったんだけども!」


「そりゃだって彼の精気が無くなるまで並び直し有りの設定だもの、ファイトポニ子姉さん! あ、僕はもうすぐ交代時間なんでその後も頑張ってね? はーい五秒で交代でーす」


「ちょっと! それはずるいでしょー、確かレジェンドも彼の精力持ってるはずよね? せめてあの子を隣に据えるとかしないの?」


「あーレジェンドは全部リソースに変換しちゃったってさ、はいはい五秒ですよー」


「ちょ! なにそれ……皆に分ける為の吸精だったでしょ……あの子ってば我が道を行きすぎてる気がするのは私だけ?」


「レジェンドはあれでいいと思うなぁ、まぁポニ子姉さんはなんだかんだで美味しい所をいつも持ってくからねぇ……たまには苦労もして欲しい? 的な? 五秒で離れてくださーい」


 サキュバスの列は減らず並び直すので長くなるばかりだ、ちなみにお屋敷の中で納まらず外にまで列が飛び出ている。


「あの……握手のし過ぎで手が腫れて来たんだけども……」


「はいはーい五秒で交代してくださーい」


「ぅぅ……返事すらしてくれなくなった……」


「ポニ子姉さん真面目すぎなんだもの、皆に行き渡る様に必要以上吸われないようにしてるでしょう? はいはい離れてくださーい」


「そりゃそういう主旨の話だったでしょう?」


「そんなだから皆がいつまでたっても並ぶんだよ……まぁ有難いからいいけどね、あ、五秒で交代でーす」


「ええぇ? ……もっと適当にやっても良かったの?」


「今そこに気づくのはポニ子姉さんクオリティだよね、はい交代でーす、でも今更多めに分配とかしたら暴動起きるからね? はいこうたーい」


「えええええええええぇぇぇぇぇ――」


 サキュバスの列は終わらない、むしろ着々と増えていくなか、ポニ子姉さんの嘆きの悲鳴が轟くのであった。





 




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