第55話 何故か撮影会
僕姉さんもクィーン姉さんも目が覚めて、可憐姉さんもポニテ姉さんに引っぱたかれて正気に戻された。
支払いも終わったし、さてみんな帰るのかなと見ていると、何故かクィーン姉さんがこちらをモジモジとしながら見ている、なんだろ……あ、やべ。
モバタンをポン子から受け取り、クィーン姉さんに語りかける。
「クィーン姉さんモバタンで撮影お願いしてもいいですか?」
そう聞いてみると、クィーン姉さんは嬉しそうに。
「しょうがないわねぇ、男の子はみんなコスプレ大好きだものね! いいわよ、ポーズはどうする?」
とノリノリで皆の前に出てきた、壁かけディスプレイがかかってない壁の前に立って貰い。
「では撮影よろしくお願いしまーす、ポン子は光源を俺の背後から被写体に四十五度の角度で頼む」
そうポン子に頼む、あいつはラジャーといっていい感じに光源を生活魔法で出してくれる、そのうえクィーン姉さんの背後の壁を緑にしてくれた、クロマキーか!? ポン子お前すごいな。
「はいではレースクィーンぽい腰に手をあてて少し体を捻ったポーズをお願いしていいですか?」
なるべく具体的にかつそれほど難しくないポーズを要求する。
「こうかしら?」
「わぉ、さいっこうでーす撮りますね、何枚かいきまーす」
パシャパシャと少し角度を変えて数枚取る。
「では次はって、そうか傘とかうちにはなかった……」
「あ、小物ならあるわよ」
とクィーン姉さんがレースクィーンが持っているような傘を空間庫から出してきた、完璧じゃね?
「じゃぁまずは畳んだ傘を杖代わりにして体を前に乗り出した感じでお願いしまーす」
「こんな感じかしら」
「笑顔が素敵すぎますクィーン姉さん、目線こっちにください」
パシャパシャと数枚取る。
「傘を開いて肩に乗せて頂けますか、はいそんな感じです、いきまーす最初は目線外してー、はい今度は目線くださーい、はい」
パシャパシャっと数枚取る。
「ありがとうございましたーお疲れ様でしたー」
クィーン姉さんにお礼を言って終了させる。
「え? もう終わりなの?」
「ええ、やっぱり数ポーズ数枚づつの十枚前後がマナーだと思うんです」
「何処のマナーよそれ、私はまだまだ大丈夫よ? 何なら着替えたっていいんだから、ふんすっ」
鼻息の荒いクィーン姉さんであった。
施設に居た頃にモバタンで見たコミケのマナーがこんな感じだった気が……? 俺にもよくわかんね、撮ってる時に何かが俺に降臨したような、ローアングルは駄目だと俺の中の天使が語りかけて来たような……。
現代にファンタジーが来ても漫画アニメのファンタジージャンルは死なず、さらに即売会やらの文化はまったく消えなかったという話だ、むしろ会場の外のコスプレ広場に結界を張り、コスプレをした探索者が魔法や技を披露して撮影するとかもあるのだとかなんとか……、俺も今度行きてーなぁ……。
まぁとりあえず、だ。
「撮りたいのは山々なのですが他の人の目線がですね……」
リルル、ポニテ姉さん、僕姉さんが頬を膨らませて。
可憐姉さんが、何故かレースの傘やらを準備していて。
金髪天使さんはオロオロとしている、そしてポン子は俺の助手だ。
「あー、私一人が彼に撮って貰うのはあれだよねうんうん、みんなで順番に撮影して貰いましょうか?」
そうクィーン姉さんが提案すると。
「「「さんせーい!」」です」 「え? もう用意してるのだけど?」
「わ、私もするのか? オロオロ」
金髪天使さんは困ってるみたいだな、それなら。
「ああ、じゃぁ金髪天使さんは先に帰りますか? また明日よろしくお願い……と思ったけどやっぱり俺は金髪天使さんも撮りたいなーすっごく撮りたいなー撮らせて頂けないでしょうか? お願いします」
帰るように勧める途中で悲しそうな顔をしたので仲間外れが嫌なのだろうと、手の平ドリルして、頭を下げてお願いした。
そして撮影会に突入してしまった。
ポニテ姉さんは例の最新アニメのヒロインコスでアニメの中で使う小道具などを取り出してポーズを決めてくる、昨日気になってちょろっと調べたんだけどすげぇ似てるわこれ、髪も撮影している時はおろしてくれた可愛い感じだ。
「ポニテ姉さん最高です、超キュート、そのポーズ頂きます、ポン子光の向きを変えて貰える、ナイス! 可愛い系のヒロインの恥ずかしがったセクシーポーズは男の子を一網打尽できますね! これはやばい、あーそのポーズは公式サイトにあったやつぅー再限度たっかー、やべーっすポニテ姉さん、俺の胸を破裂させる気ですかー、そこで必殺技ー、貰ったーこれはもう必殺ですわ、男を落とす必殺技ですわー」
パシャパシャと遠慮なく何枚も撮っていく俺。
「ありがとございましたー」
いやー疲れた、どうしようこのテンションであと四人とかムリー……。
彼女らは順番に並んでいるんだがクィーン姉さんが最後に並び直してるように見える……体力持つかなあこれ、揉みよりカロリー消費する気がする。
――
「可憐姉さん、あなた本当に可憐姉さんですか!? 純情清楚可憐お嬢様にしか見えないじゃないですかーもーやだー、そこ、そこでちょこっと首をかしげて、そう! そして目線をこっちに、あーもうこれは惚れちゃう、全国の男の子たちがみんな惚れちゃうでしょー? そこでクルっと回って、あー目がつぶれちゃう清楚の光で俺の目がー、傘を持ってそこで振り返ってー-、はいかんっぺき、なにその表情、それをされたら男はみんな倒れちゃうよ!」
パシャパシャと遠慮なく何枚も撮っていく俺。
「ありがとうございましたー」
下手な運動より疲れるんですけどー、これはもう終わりにして後日とかにして貰うしか……。
僕姉さんが空間庫から何かとり出している……あれは……猫耳と尻尾だと……、ばかな…‥。
――
「僕猫姉さんこっち向いてー、あー気まぐれな猫さんだなー、こっちだよー」
俺は左手で渡された猫ジャラシを振り始める。
「はーいおっけー、かもーん子猫ちゃんその一心不乱の顔いいねー貰っちゃう、こっちこっち、何!? かまってモード……だと? 世の中の猫好きを悶え殺す気か貴方は! もう俺が悶え死んでますよ! そこ、あーいいわぁさいっこうだー、そこでニャンってそう頂きます、これはもう飼うしかないね、くーこんな猫ちゃんいたら飼うしかないでしょー、はいそのポーズも頂き! ます! 最後はおねむ、イイネ! きまぐれ猫はそうでなきゃ!」
パシャパシャと遠慮なく何枚も撮っていく俺。
「ありがとうございましたー」
いやもうだめ、ほんとだめ、めっさ疲れる、リルルに悪いが終わらせて貰って。
リルルがテーブルを壁の前に持ってきてその上に乗る、いつの間にか着替えている、そうかあの時のバニーさんか、俺の中の戦士が戦えと伝えてくる。
――
「リルルさーんこっち向いてーはい頂きます、イエースセクシー&キュート! 最高です、次は寝転んで貰えますかー、あーそうです、これはもう撮らなかったら一生後悔するね! 腰に手をあててー、はい! そう! 少し勝気な表情でーおっけー-いもう俺は貴方の奴隷になりたい、次は立ってもらって前かがみで、ビューティフォー貰ったぁ、俺は神の一枚を撮ってしまったかもしれない、片足に体重を片手を相手に向けておいでおいでする感じでーそう! パーフェクツ! リルルさん貴方はバニー会のナンバーワンだ!」
パシャパシャと遠慮なく何枚も撮っていく俺。
「ありがとうございましたー」
ふー疲れた、おでこの汗を腕で拭いモバタンを置いて終わりにする俺。
「やー疲れた、みなさんおつかれさまー」
「ああの、私まだ撮って貰ってないのだが……」
金髪天使さんがそう言う、は! しまったコスプレっぽくないからもう終わった気がしてた。
「勿論撮らせて頂きますよ、えーとその恰好でいいですか?」
スポーティなジョギングお姉さんといった感じの金髪天使さん、他の人と比べるとちょっと味が薄い。
「だ、だめだろうか……」
金髪天使さんが少し顔を伏せた、は! 何をやってるんだ俺は、女性を悲しませるなんて……よしいくぞ!
「いえ、被写体の美しさを引き出すのがカメラマンの仕事です、どんな格好だろうと貴方の美しさなら最高の一枚になるはずですよ、ポン子! 彼女に首にかけるタオルと霧吹きで汗をだしてる感じにしろ」
ポン子は即座に俺の要求に答える、お前まじで助手として優秀だよな、光のあてかたも適宜変えてくるし、俺の予想も超えてくるし……え? その技術も漫画で覚えた? 日本の漫画すごすぎだろぉぉぉ!!
「はい、いきますよー金髪天使さん、まずは軽くその場で走ってみてーはいそう、いいね美人モデルの休日のジョギング頂きまーす! はい最高、止まって汗を拭ってーわーぉ俺はそのタオルになりたい! そこ! ちょっとだけ目線を斜めに、美しいそれ以外の言葉がいるだろうか! 運動が終わりましたーポン子ペットボトルのお茶を、はいそれをスタイリッシュに飲んでー、はいもう完璧美人、飲料メーカーからCM依頼入りましたー! 俺も一緒に走りたい! 貴方を見る為にジョギングコースに人が十倍は増えちゃいます、俺は確実にいきまーす!」
パシャパシャと遠慮なく何枚も撮っていく俺。
「ありがとうございましたー」
いやもうだめ、ま、じ、で、疲れる、下手なスポーツをやるより疲れる、精神が。
これはもうさすがに終わりにするしか……。
ねぇクィーン姉さんさっき貴方撮っただろう? しかもその恰好さっきと違うレースクィーンじゃん、何それすっげぇ可愛いじゃん、どうしよう?
さらにその後ろに、おかしいなさっき撮った人達が再度並び直している気がするんだが……だ……誰か列切りお願いします。
ポニテ姉さんそれまた違うアニメですか? 悪役っぽい感じしますね、すっごい似合ってます、あまりに似合いすぎて目がつぶれそうです。
可憐姉さん、何そのワンピ、花柄入ってます? 貴方なんでそんなに清楚可憐な恰好が似合うの?
僕姉さん、犬耳ですか? しかも尻尾だけでなく肉球手袋……だと……最終兵器じゃないですか……。
リルルさん、今度は色違いだね、網タイツの目の大きさとかも違うのね、セクシー度がヤヴァイじゃん、俺に死ねと?
金髪天使さんは……同じ恰好だ、よかったちょっと安心……って空間庫から洋服を出して何をしているんでしょうか、貴方コスプレとか持ってないタイプですよね? ぐわ! モデル雑誌のトップとか飾っちゃうやつじゃんそれ、俺の腕前が追い付かないよ……。
――
こうして俺のエンドレス交代撮影は夜まで続いた、金髪天使さんが夜番に遅れそうで呼び出しを食らっていなかったらまだ続いていただろう……。
撮影会にある程度満足したサキュバスの四人は転移で帰る前に、俺に精力を吸わせてくれとお願いしてきた。
俺がリルルを見ると、納得のいってないような顔だが首を縦に頷いていた、不本意なのだろうか。
三人の姉達にポニテ姉さんの時のような注意をしているリルル。
吸い過ぎるな、神の器部分のみ、破ったら二十日は口を聞かないそうだ、日数が増えているな。
ポニテ姉さんは少し吸ってすぐ離れ恍惚な表情をしている、他の人より美味しいのかも? 神だしなぁ……でもリルルは特に何も言わんのだよな。
そして三人娘は二人が気絶した、もう一人が新世界に旅立った、なんでや……。
ポニテ姉さんが笑いながら三人を連れて転移で帰った……。
リルルを見る、美味しくていつのまにか寝ているそうだ、そういう物か?
まぁよし、リルルさんは前に約束したコスプレ披露が出来て満足そうだしな。
遅れた夕食時ポン子には助手報酬に弁当の増量を求められた、うん今日の俺はもう食欲ないから半分やるよ……。
その日も揉みの勉強をネット動画でする、リルルが揉み動画のお勧めを昨日教えてくれたんだよな、この匠さんは丁寧な説明で揉みの秘儀とやらを教えてくれる。昨日の続きを見なければいかんな。
それとリルルには一般的なサキュバスの営業作法には興味ありますと素直に答えておいた、土下座はしないで済んだが、いつか私がやるのでと宣言された、受けないで下さいとかは言われなかったな、ご主人様も男の子ですしね……と、リルルさんは納得してくれた。
諸々あって夜も遅いし、さて寝るかねぇ、二人共おやすみ~。
「クッころせ……」
ちなみにポン子は三敗目を喫している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます