第94話 揉み技の秘密
「ファイト~ファイオ! ファイオ! はい教官殿! ちゃんと前を見て走ります!」
ガバっと上半身を起こす俺……いつもの俺の部屋だな。
浜辺でサキュバスさん達と水着で過ごした、それはいいそれは良かったんだが、内容が動画で見た姫乃のお義母さんに後ろから追いかけられて謎の斬撃破を背後の地面に打ち込まれ、その爆発に追われる様に走り込みをするという内容で、横で一緒に走っているサキュバスさん達のお胸様がバルンバルン揺れるたびについつい視線がそっちにいってしまいそれを怒られるという内容だった……おしい……もう少し違う内容だったらなぁ……サンオイルの塗りっことか。
「何を塗るの?」
横からの声に気づいてそちらを見ると、クイーン姉さんとその肩に乗っているリルルが居た、二人共おはようございます、口に出てました? そうですか……。
「そういえばクィーン姉さんは倒れてないんですね」
「姉様は吸ってませんよご主人様」
ありゃ、じゃぁあの夢は素だった?
「ポニテ姉さんが吸って帰っていったわよ、自分が夢に出て無かったからとかで姉さんが夢に少し悪戯したとか言ってたけど大丈夫? 私は朝ご飯の差し入れに来たの、約束したのでしょ? これからもちょいちょい持ってくるからね」
なんと! もしかして浜辺でキャッキャウフフな夢になりそうな所を修行の夢に変えられた可能性が!? 酷い……なんちゅー酷い事をするんやぁ……次はポニテ姉さんの
――
今はクィーン姉さんの差し入れの朝食を食べている所だ、ホウレンソウのお浸し、焼き鮭、味噌汁、海苔、お肉と春キャベツの炒め物、ご飯も持ってきてくれた。
「いつも食パンな朝食なので和風な感じも良いですね、うちは炊飯器とかまだ無いんですよね、はいクイーン姉さんアーン」
「あ、あーんはぐ、むぐむぐ、日本が縄張りのサキュバスだと日本食を好きな人も多いわよ? 納豆大好きって子もいるし、ラーメンとかお好み焼きとかそういうのが好きな子も多いわね」
「はぐはぐ、ラーメンも良いですねぇ、お弁当屋さんだと買えないのでコンビニでカップメンとかでしょうか?」
「先輩カップメンって何ですか?」
リルルは知らないのか、なら今度カップメン買ってきてあげるか……お湯って生活魔法で出せたっけ?
「恋人カップルが食べる専用のラーメンですよ後輩ちゃん」
ポン子が適当な事を教えてリルルが、なるほど~、と納得してしまってる。
後で訂正しておこう。
ご飯も終わり、クイーン姉さんが帰っていって。
さて昇天屋開業だ、午前にサキュバス二人で午後に天使が二人だ、順番じゃなくなってるけど無茶な営業とやらをしてくる人も居なかったし大丈夫だろ。
――
部屋の準備をして待ち受ける、壁の転移魔道具が輝きそこにサキュバスが二人。
こんにちは~、コスプレとかしてないサキュバスさんも居るんですね、キャバクラ? 知ってます、お話しながらお酒を飲むんですよね? ええ!? 地域によって名称や内容が違うんですか……? それは初耳でした……ちなみにお姉さんは何処らあたりの、へぇ意外と近いんですねぇ……ああ
では早速いきますね!
――
キャバ嬢サキュバスさんは眠ってしまったので端っこの布団に寝かせて置いて次のサキュバスさんを迎える。
はい次の方どうぞ~。
――
はい、自己紹介とPRそれと
では貴方が昇天屋の揉み予約に応募してきた志望動機を教えて貰えますか?
――
なるほど、では次に長所と短所を、それから揉みほぐし後にやりたい事があったら教えて下さい。
――
では次に貴方を揉んだ場合昇天屋にとってどんなメリットがあるのか答えて頂けますか?
――
以上ですか? それでは最後に何か聞いておきたい事はありますか? はい、では面接は以上をもって終了となります、お疲れ様でした。
引き続き揉みの方に移らせて貰いますね。
――
就活生サキュバスさんも寝てしまい、揉みは終了。
しばらくして起き出したキャバ嬢さんと就活生さんの撮影をする事に。
キャバ嬢さんは上手く撮れたらお店に飾るパネルにすると言っているが、俺は素人なので勘弁して下さい……それと撮影されながら億単位の給料で俺を誘惑するのもやめて下さい、ポニテ姉さんが言ってた人は貴方なんですね、キャバ嬢ってそんなに儲かる物なんですか? へぇ太客にとあるグループ企業の会長さんで××さんですか……何処かで聞いた名ですね……。
はい撮影ありがとうございました。
――
じゃぁ就活生さん撮りましょうか、ふむふむ、上手く撮れたら履歴書に使うと、いいですよバンバン使って下さい、じゃぁ上半身だけでいきまーす、パシャッ、はい終わりでーす。
いや早すぎるって言われても……焦るくらいなら履歴書ネタ使わなければよかったのに……しょうがないなぁ、じゃぁ〈ヨガ同好会〉でやっているポーズをお願いしまーす、まずはスライムのポーズですねー、ナイス柔らかさ! 次にベヒモスのポーズ、はい顔だけこっち向けてーいいねー、次は飛竜のポーズ、羽の形がセクシィー、どんどんいこう~、ラミアのポーズ! はい下を脱がないでくださーい! アウトにしますよー、そして最後が~サキュバスのポーーーズ! ってそれリルルのムギュッじゃないですか……。
はい撮影ありがとうございました。
――
お昼を食べてから午後は天使さんが二人の予定、だったのだが……何故か金髪天使さんが一人で来た。
「あれ? 忙しいから来れそうにないって聞きましたが? お仕事終わったんですか金髪天使さん」
「いえ、私が今にも堕天しそうな表情で仕事をしている事を心配した同僚達が、一時的に仕事を肩代わりしてくれまして、しかも二人分の予約を私だけに譲ってくれたんです、彼女達にはどれだけ感謝をしてもし足りないです……」
なるほど、ってか堕天しそうな表情ってどんなのだろか……今でも目に隈はあるが、あそうだ木三郎の事を説明しないとなぁ……。
俺は金髪天使さんへ一連のダンジョンでの出来事を語り、木三郎さんを召喚しつつ諸々の件を説明した。
「という訳で折角貰った棒は無くなってしまったんです、申し訳ありません金髪天使さん」
『シャシャーシャシャン』
金髪天使さんは俺の説明を聞いても怒る事は無く。
「いえ、私のプレゼントがお役にたったなら嬉しいです、いつもの様に私があげた棒が原因で事件が起きたのかと焦ってしまいました、それに先生の従者が強くなったのなら良い事では無いですか、あんな棒なんていくらでも……いや……ええと……同じ物は無理そうなので神界に生えている千年樹の枝を加工した物を誰かに持ってこさせますね……性能は落ちてしまうはずなので申し訳ありませんが……」
そんな事を言ってくる金髪天使さん、いつもの様にって所は詳しく聞かない方がいいのだろうか。
「無理しないでも大丈夫ですよ? 俺にはまだこれがありますし」
そう左手首のブレスレットを見せると金髪天使さんは本当に嬉しそうに笑った、目に隈が無ければ最高に可愛かっただろう。
そうして揉みを始める俺、揉みの匠が言うには気力を相手に注ぎ込む事で元気にする事も出来るとか……気ってのが今一よく判らなかったが呼吸法と動きはトレース出来ているはずだ、金髪天使さんが頑張れる様に……やってみるか!
――
金髪天使さんはマットレスの上でぐっすり寝ている、毛布を掛けてあげて起こさずに寝かせてあげている、ちなみにもう夕食の時間だったりする、急いで買ってきたお弁当をなるべく音を立てずに食べている俺達、ごそごそと起き出した金髪天使さん。
「ここは……そうか、ぐっすり寝てしまった様ですね申し訳ありません、早く仕事に戻らないと……ってなんだか体がすごく軽いです、さすが先生の癒しの揉みは素晴らしいですね!」
金髪天使さんはそうキラキラとした笑顔で語り掛けてくる……キラキラとした……そうまるで体全体からうっすらとキラキラとした光が溢れているような……。
俺はそれを見てポン子に囁き声で話しかける。
「なぁポン子よ俺には金髪天使さんがキラキラ輝いているように見えるんだが、なんだこれ?」
「私にもそう見えますねイチローが何かしたんじゃないですか?」
「何もしてねーよ、ただ気を送り込む技ってのを試してみただけだ」
「……イチロー……その気って仙人が言う所の気の場合、つまる所それはリソースの事なんですが、何処でそんな技を身に着けたんですか?」
はぁ? え? ちょっと待って揉みの匠が動画内で言ってる仙人がどうたらって冗談は……ええ? まじかー、そんな事を公共に向けて動画で出す時代になったのか! さすがダンジョンのある現代社会はすごいなぁ……にしては動画の再生数が低いのが理解できんが。
俺らが話しているのをよそにキラキラ金髪天使さんは目の隈も消えていて、元気よくポン子に支払い清算をしにきた。
「それでは先生、私は仕事に戻りますね! 撮影会はまた時間のある時にたっっっぷりお願いしますね! なんだかすごい元気が湧いてきてます! 先生の揉みは素晴らしいですね! ではまた失礼します!」
キラキラ金髪天使さんは元気一杯にそう言い残し転移で帰って行った。
「なんか別人の様に元気だったな金髪天使さん……」
「イチローの謎の技によってリソース補充されて、尚且つ揉みにより短いですが深く質の良い眠りを得られたせいではないでしょうか?」
「キラキラでしたね~」
どうにも俺の見ていた動画は本物の仙人の様だった、気がリソースならつまり仙人というのは神族という事に? 色々謎があるが……そんな動画が見れてラッキーくらいに思っておこう、言われてみれば俺の中にあったリソースが減ってるような気もするしなぁ、リソース譲渡揉みの技術を得たという事か……これ探索者の役に立つ?
「……まぁあれだ明日行く鉱山ダンジョンの打ち合わせでもしようぜ?」
「そうですねイチロー、草原ダンジョンみたいな事にならないようにしないとですね」
「今度こそスクロールとか出ないですかね~木三郎さん」
『シャシャ……』
俺達は鉱山ダンジョンの一階狩りにおいて情報漏れが無いか再度調べていく、ツルハシは協会の受付で借りれるが壊したら弁償なうえに、急に戦闘になってついツルハシで攻撃を受けてしまい壊れる事もあるし、弁償の代金がツルハシ新品を買える値段でさらに貸出賃も取られるので買った方がいいと書いてあるサイトもあった、持って歩くのが大変だとも補足で書いてある。
うちは空間庫あるしダンジョン採取に必要な道具なんかを色々調べて買っておく事にした、ツルハシだけでなく薬草やら湧き水やら採取って色々あるんだな……採取道具専門店も一杯あるなぁ……よく判らんので評判のよさそうな所を選んで明日の朝に色々買いにいくか。
事前準備の金がどんどん必要になってくる……コアガーディアンのリッチで稼いだ金やらがもう半分以下になってるし頑張って稼ぎながら実績を上げないとな!
姫乃のクラスメイトは木三郎さんの見た目を覚えていた節がある、なので洋服はツナギからジャージに変わってるし体形も変わっているから良し、髪と狐面は吸収しちゃってるんだよなぁ……銀髪の生えているゴーレムってだけでアウトな気もする。
大き目のタオルで銀髪を覆う様に巻きつけ縛り、狐顔の上からひょっとこ面を被せれば……不審者の出来上がり! うーんこれは駄目だな……プロレス用のマスクでも明日の朝に行きがけに買っておこう……買える場所を調べておかねば。
そうして時に真面目に話し合い、時に雑談に流れていきながら夜も更けていく、明日からのダンジョン狩りも皆で頑張ろうな。
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