第14話 教えて!ポンちゃん先生の放課後補習授業
「はぁ~やっぱり揚げ物はジャスティスです、揚げるだけで素材が数倍美味しくなってましたね~」
天使の語る正義が揚げ物で良いのだろうか。
「あ、勿論他の調理法も数倍美味しくなりますよ」
結局すべての料理が数倍美味しくなっている。
確かに、から揚げもカツも美味しかった、交換で出し巻き卵がなくなって肉まみれ弁当に、お野菜ひとつおまけです~とポン子がピーマン天ぷらをくれた、優しいね。
片付けが終わると、テーブルの上に居たポン子はおもむろに。
「教えて! ポンちゃん先生の放課後補習授業は~じま~るよ~」
本当に混ぜやがった。
ポン子はまた、かけてもいない眼鏡を押し上げる素振りを見せ。
「では、イチロー君の知りたい事や疑問に思った事などを解決して行きましょう」
「お願いします、ポンちゃん先生」
「まずはイチロー君が知っている、地上での魔力知識を教えてください」
「えーと元々人類には魔力なんてなくて、初めて石板に触れると魔力を得る、んで魔力があると免疫力や基礎能力が上がる、のではないかと言われています、後は自分の意思で石板に触れないと駄目っぽいとか、子供が立って一人で歩けるようになったら石板に触らせに行くというのが常識です」
施設のTVで、石板の前で子供を応援する親の映像とか見た事あるしな。
「はい、ありがとうイチロー君、人類にも魔力やスキルを持っていた人達は昔からいました、仮に先天性スキル持ちと言いますね、石板で魔力やダンジョン産スクロールで手に入れる場合後天性ですね、先天性の方々は表社会に出てこなかったので知られてなかったのでしょう、裏の魔法社会とかいうやつですね」
ほえーそんな人らが居たのかぁ、まるで漫画だな。
「魔力を石板で付与、スキルを覚えたり、カードテイム魔物を召喚中だったり、装備で上がる場合、そんな基礎能力が上がる事をしていけば、免疫力も上がり健康にそして若さを保ち生きていけます、神様の愛が感じられますね、ハレルヤ」
「やっぱりスキルで基礎能力上がるんだな、能力が上がるのと上がらないスキルがあるんじゃーって話もあったけど、あれ? テイム召喚中で上がるって事はポンちゃん先生も?」
「力や体力、器用さに素早さ、魔力に魔力操作、運やら反射神経やカリスマ値やら他にも色々見えない部分も上がりますからね、気づいてない物もあるのでしょう、私が召喚されている事でイチロー君の幸運も上がってますよ、微々たる物ですが」
多少なりとも上がっているのは嬉しいものだな。
「あ、後俺、そういや付与された魔力や覚えたスキルが消えてしまったり戻ったりする事があるってTVで見たわ、悪い事をすると能力が消され、反省すると戻るのではないかーとか言われてた、ただ法則が定まらなくて専門家が困ってたっけなぁ」
「リソースの時も言いましたが〈信仰や平和への感謝〉が私達の力になるのです、神様の愛による後天的に得た魔力やスキルを利用して〈恐怖や悲しみ〉を生み出す、そんな輩を天使が許すと思いますか? イチロー君」
ちょっと声が怖い。
「許しません! 俺も人を傷つける事はいけないと思います! ポンちゃん先生」
「はい、優しいイチロー君みたいな子は先生大好きですよ、法則の定まらなさは、地上の様な法律は存在しないので、案件ごとに対応する天使の裁量で変わってくるからでしょうか」
結構大雑把なんだな。
「そして勘違いしないで欲しいのが、人類の犯罪を全て裁くわけでは無い、という事です、先ほどの先天性スキル持ちがそれを使って人に悪さをしても私どもはなんら関与しません、いえ出来ないと言った方がいいでしょうか」
「なるほどー、なら鞭スキルを使って相手を叩くけど、それが同意の元のプレイだと?」
「お互いが同意してて愛や喜びが有る物なら良いのではないでしょうか」
「十八禁でも?」
「ああリソースの時の話ですね、あれは負の感情を伴う場合がよくないのであって、正の感情を持つなら良いのです、そうじゃないと子供が出来ないでしょう?」
せいの感情か確かにそうだな。
「相手を愛し敬い慈しみを持って喜びと共にあるのなら問題ないのですよ、イチロー君も早く良い人を見つけましょうね」
「イチローは表情を険しくした」
「どうしました? イチロー君」
「イチローは何も言わず席を立ち教壇に上がりポンちゃん先生の元へ向かう、その圧力を感じてポンちゃん先生は後ろに下がろうとするが黒板に阻まれてしまう、横に動こうとしたポンちゃん先生に『良い人……ね、なぁポンちゃん先生、俺に夜の補習授業で愛し方を教えてくれよ』と顔の横の黒板に右手でドンッっと音を鳴らしつつ逃げ道を塞ぐ」
「『な、なにを言っているのイチロー君? も~う大人の女性をからかっちゃだ、め、だ、ぞ』余裕のある大人を演じているが目線は少し下にそしてポンちゃん先生の足は震えている」
「イチローは右手を黒板についたまま、左手の人差し指と中指をポンちゃん先生の顎の下に差し込みクイっと顔を上に向かせる、『俺知ってるんだぜ、あんたが本当は男慣れしていないって事を』ポンちゃん先生の目を真剣に見つめるイチロー」
「『私がそんな訳、私は、わたしは、わた、し、は』ポンちゃん先生はイチローから目を離せずにいる」
「顔を近づかせるイチロー」
そしてポンちゃん先生は叫ぶ
「はい! カーット!」
「はーい、カット入りましたー、シーン三十七終了でーす、五分休憩入りますのでポン子さん、この後もよろしくお願いしまーす」
ポン子は教師の演技を止め。
「急にイチローが地の分をセリフに入れてくるから何かと思いましたよ~」
「まぁこれでタイトル後半部分も回収できただろ、どうだった? てかポン子お前演技対応力すごすぎるだろ、急な無茶ブリかなーとも思ったが完璧に反応しやがった」
「そうですね~、百点満点で四十点くらいですかね? いつでも演技に入れるようにと昔読んだ漫画に描いてありまして」
日本の漫画すごくね?
ノリノリでやってたわりに意外と点数は辛かった。
「生徒と教師の関係性が見えてこないので、今ひとつキュンキュン度が足りませんね~」
ふ~む。
「なるほどな~じゃぁ、この生徒はイケメンの真面目ちゃんだったが、過去高校一年の時にポンちゃん先生に本気で告白したけど男慣れした感じで子供扱いされて振られている、その反動でちょい悪系イケメンの遊び人に、告白された女の子とは全員付き合うみたいな、そんなこんなで高三の卒業前、そうだなぁまぁクリスマスとか? 夜の街で男にホテルに連れ込まれそうなポンちゃん先生を見かける、先生は必至な感じで逃げ出しその姿は男に慣れているとはとても思えない、男は『そんなんだから男にも縁がないんだ!』みたいな罵倒をかけている、ポンちゃん先生の真の姿に気づき、振られた時の事を思い出す生徒、あれはなんだったんだと〈怒り〉そして今の自分は汚れていると感じる〈悲しみ〉やっぱり好きな事に気づく〈愛情〉等々と心がぐちゃぐちゃになってしまう生徒、そして補習授業へ、という設定ならどうだ!」
「意外と設定が細かくて私はびっくりしてます、生徒の心の葛藤部分とか、ちょっとキュンキュンしますね、プラス十五点あげます」
合わせて五十五点だった、赤点は回避したか?
「まぁいいや続けるか」
「そうですね」
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