第8話 朝からドッタンバッタン大騒ぎ
チチチ……チュン、チュン……
鳥の鳴き声と掘っ立て小屋の隙間から差し込む日の光で目が覚めた。だが、身体が金縛りにあったように固まっており身動きが取れずにいた。
ふにょん。ふにょん。
身動きが取れずに焦っていると、柔らかい感触が腰の辺りに発生するので、目を開けて確認してみた。
やらかしました……全国一千万のルシアたんファンの方に刺殺される案件をやらかしてしまいましたよ。……出会って一日で朝チュンをやらかしてしまいました……でも、待ってください! 完全に不可抗力です。I do not touch。わたしは触っていませんっ!
ですが、身体は正直です。だって男ですから。それも若い盛りの二十代ですんで我慢しろという方が鬼畜というものでしょう。
「ふぁぁあぁぁ……う~ん……」
ルシアも目覚めたようだが、完全に寝ぼけているようです。ゴソゴソと俺の服を脱がそうとすると、布団か何かと間違えて服の中に頭を入れ始めた。
服の中に潜り込んだルシアの吐息が腹筋にかかる。
「ファ!? ルシア!? あ、あぁあ! そんなとこに息を吹きかけちゃイカンよ。ファッ!?」
違うんです……誤解なんです。コレはそのルシアたんから襲ってきているわけで、けして俺から手を出しているわけじゃないんですよ。その点だけをご理解とご協力して頂けるとありがたい。
ふにょん、ふにょん。
ちょうど腰の下に当たるルシアの双丘も一緒になって誘惑をしてきていた。更に寝ている間にズボンからはみ出したのか、ルシアのお尻の辺りからフサフサの毛に覆われたモフモフの尻尾が飛び出して右に左にと揺れていた。
……狐耳だけじゃなかった……尻尾まであるとは……何というポテンシャルを秘めている同居人なんだ……ダメで、勝てる気がしねぇ……
「ふうう!? ファッ!? うち、ツクルにーはんと……あぁあっ! 堪忍、堪忍どすえ~! ウチも悪気は無かったんどす~!」
俺の服の中で目覚めたルシアが現状を認識してアワアワとして暴れていた。彼女が暴れる度にイケナイ感触が至るところを襲ってきていた。
「あー、落ち着きたまえルシア君。暴れるほど、絡まり合ってしまうハメになる。ここは一旦落ち着こうじゃないか……」
「はぅ……あぁ……ツクルにーはん……これは、不可抗力で同衾とはちがいまっしゃろ。せやから、ノーカウントにおくれやす~。うち、ツクルにーはんにいやらしいおなごやと思われたくあらしまへん~」
まだ、俺の服を頭に被ったままでいるのは、きっと恥ずかしくて顔が真っ赤になっているからだと思われる。
「了解しました。ルシアとの初めての同衾はなかったことにします。これでいいかい?」
「ツクルにーはんのいけず~」
やっと服の中から顔を出してくれたルシアが、寝ぐせのついた髪のままポコポコとお腹を叩いてきていた。
今日もルシアは完璧にカワイイ。ルシア成分充填完了。これで、今日も俺は敵が何者であったとしても戦えるはず。目覚めの儀式を終えたから、いい加減に起きるとするか。
「ルシア、そろそろ起きようか。悪いけど、朝ご飯の準備してくれるかい?」
「はーい。その前にお水を汲んでこうへんと……」
「水汲みは俺が行ってくるよ。どうせ、水場からの地形の下見もしないといけないしね」
「なら、水汲みはツクルにーはんにお任せして、うちは朝ご飯の準備をさせてもらいます~」
「じゃあ、ちょっと汲んでくるね」
ルシアから昨日生成した木製バケツを受け取ると、小屋から出て防壁の城門を開き、崖の上の方へ昇っていく。崖から二〇〇メートルほど歩くと、幅二メートル程度の川がながれており、水量は十分にあった。
バケツを川に浸して水を汲みあげる。
バフッ!
>きれいな水を入手しました。
手に入れた水はすぐさまインベントリ欄に収納されてしまい、桶の中には残らなかった。
俺が汲むとバケツに残らないとは……でも、まあ、重い物を持ち運ばなくていいのなら、それはそれでいいか……。
大量の水を手に入れることに成功したが、いちいちここまで汲みにくるのも面倒だし、やはり当初の計画通り水路を引っ張る方が楽だな。
地形の方も見てみるが崖までは、ほぼ平らで一直線となっており、迂回させて水を引くより、崖から滝のように流す方が簡単で手間が無いように思える。
「滝つぼのスペースを考えて、飲料水用とシャワー用に分けて作ればいいか……最終的には温泉作りたいなぁ……ルシアと一緒に……お風呂イベントこなしたい……」
滝つぼの温泉で一糸まとわぬルシアと一緒に酒を飲みながら、ゆったりと長風呂を楽しむのもイイかもしれない。
一旦、小屋に帰りルシアに水を渡して一緒に朝食を食べた後、本格的な工事に入ることにした。
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