第66話 ドキ! 水着だらけの混浴露天風呂 前編

「よしよし、ピヨちゃんもしっかりと綺麗にしないとな。どうだい? ここがええのんか? ここか? それともこっちか?」


 ピヨ。ピピイヨ。ピピッ! ピピピヨォ!


 お楽しみの混浴温泉タイムが到来したが、ルシアやイルファが入ってくる前にピヨちゃんを誘って先に洗い場に来ており、石鹸と洗い布を使ってピヨちゃんを泡塗れにさせていた。そして、泡塗れにしたピヨちゃんの身体を極上のハンドマッサージにより、癒している真っ最中である。


 泡塗れになった羽根の付け根の部分を優しく揉みしだくと、目を細め、『ああぁ、いいの、ソコがいいの』とでも言いたそうに鳴き声を上げてピヨちゃんが悶えていた。


「ピヨちゃんは羽の付け根が、気持ちいいポイントなんだね。よしよし、もう少し強めにマッサージしてあげよう」


 ピヨオオ! ピピピ、ピヨオオ!


 新たに開始したマッサージの刺激を強めると、ピヨちゃんはビクン、ビクンと身体を大きく震わせて洗い場に突っ伏してしまった。


「おやおや、余りにも気持ち良すぎてしまったか……フフフ、風紀委員長たるピヨちゃんがこの体たらくとは……チャンス到来の予感……」


 洗い場に突っ伏して動かなくなったピヨちゃんの身体に、お湯をかけて石鹸を洗い流すと、湯冷めしないように身体にバスタオルをかけて寝かせておくことにした。これで、鋭利な鈍器により急襲の危険性も大いに減退したことだろう。


「はぁー、男ってなんであんなにエッチなのかしらねー。そう思わない、ハチちゃん?」


「おいらはルリちゃん一筋だで、一緒に入れて嬉しいがやー。けど、男というものは、大概ああいったもんだで仕方ないわ」


「そうなの? ハチちゃんも?」


「あー、えー、それに関してはノーコメントと、させてもらうがや」


「もうーー、ハチちゃん!」


 先に身体を洗ってやったルリとハチが温泉に浸かって、二人でイチャイチャしているが、ルリの言ったとおり、男という生物はエッチなしでは生きていくことはできないのだ。


 エッチな事を考えられなくなった時に、男は『男では無い別の生物』にクラスチェンジしてしまうのだ。だから、俺はエッチなことを最重要視することにしたんだ。


 キィ。


 一人でエロと男について考察を始めようとしたら、温泉の入り口の木戸が開いて、入浴用のバスタオルを身体に巻いたルシアとイルファ、そして、相変わらず谷間に挟まったタマが入ってきた。


「ツクルにーはん、お待たせしました。一応、さきほど頂いたコットン製の『水着』も下に着用してますけど。でも、これってサイズが、ちょっとキツイような気がしますのは、うちのお胸さんが育ちすぎやろか……」


 風呂に入る前にルシアから、入浴用の『水着』を作って欲しいと言われたので、急遽作業スペースでコットン製の『水着』を制作することにした。だが、生憎とルシアに似合いそうなフリフリのリボンがついたワンピースタイプの水着の型紙はまだなく、布面積の少ないビキニタイプの水着しか選べなかったのだ。


 ビキニとはいえ、ルシア達に渡した水着はマイクロビキニと言っても差し支えないほどの布面積しかなかった品物で、けしてキツイサイズではなく。むしろ、そう感じさせるためのデザインになっていると思われる。


「あー、大丈夫だと思う。ルシアのお胸さんが育ってももらうのは、俺としてもやぶさかではないのだよ」


「ツクルにーはんっ! エッチなのは、無しにしてくらはりますか。ピヨちゃんがまた怒ってしまいます」


 ルシアがポカポカと胸を叩いてくるが、バスタオルの隙間から見える胸の谷間に目線は釘付けになっていた。


「案外、まともな奴かと思ったが、ツクルはエロ坊主だったか。だが、ワシが若い頃は雌猫をとっかえひっかえしていて、一時は二〇匹以上の雌猫でハーレムを形成して……うわっぷ、イルファ、こらやめぬかっ! ワシは身体が濡れるのが死ぬほど嫌いなんだっ! やめろ! やめ、やめてぇえぇ!!」


 タマが昔はブイブイ言わせていた列伝を語ろうとしていたが、イルファによって完全に無視される形となり、すでに石鹸の泡塗れにされてしまっていた。


「タマちゃーん。アタシがちゃんと綺麗にしてやるけんね。こら、暴れん。大人しゅうしとけば、すぐに綺麗になるけん」

「イルファよっ! ワシは泡塗れにされるのが一番嫌いなんだ。ああぁ、おい、聞いているのか! 今すぐ、やめ……うわっぷ」


 泡塗れのタマにイルファがザバっとお湯をかけると、ビックリしたタマがジタバタと暴れ、爪がイルファのバスタオルに引っ掛かってはだけてしまう。


 ボロンという擬音が聞こえてきそうなほど、大きなイルファの胸がこぼれ出すと、先程渡した純白のマイクロビキニ姿になっていた。


 ファッーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! イカンデス!! なんですかあのエロモンスターはっ!? おっぱいがボロンしてますよ! ポロリじゃなくてボロンですっ!! 凶悪すぐる!!!


 はだけられたイルファの胸に思いっきり視線が集中して、思わず前かがみなって動けなくなってしまう。


 ちなみにどうでもいい情報だが、俺もピヨちゃんからの指摘を受けてビキニパンツタイプの水着を着用している。だが、染料で着色していないため、どう見ても白いブリーフにしか見えないのが恥ずかしポイントだ。


「ツクルにーはんっ!? 目線がイルファさんのお胸さんに向こうてらっしゃるようですけど、そんなにジロジロ見たらあかんよ」


 背後に回っていたルシアの手によって目隠しがされてしまう。


 ファッーーーー!! ルシアたん! そりゃあ殺生だぁ! もう少しだけ見学させてください! 後生だから! お願いしますよ!


 ルシアによって目隠しをされてしまい、イルファのスライム乳が揺れる貴重な瞬間を遮断されてしまった。しかし、幸福は別の方向からやってきた。


 ふにょん、ふにょん。


 ファッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! ナマ! 素肌! ルシアたんのスベスベお肌のおっぱいが当たってるのぉおおお!


 いつの間にかマイクロビキニ姿になったルシアのおっぱいが背中に当たり、肌理の細かいスベスベした感触が背中を通じて脳内に刺激として送り込まれていく。


「あぁあぁあぁぁぁ、ルシア君……ルシア君や、そのなんだ……おっぱいが俺の背中に当たっているのだが……」


 不意にルシアの息遣いが耳元に近寄ってきたかと思うと、脳髄を焼き切るような言葉を囁いていった。


「そんなん、わかってます。ツクルにーはんがイルファさんのお胸さんばっかり見はるから、ウチはちょっと焼きもち焼いてるんですよ。そこのとこ、理解してはりますか?」


 ファッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! ルシアたんゴメンよ! 俺が悪かった。いや、あのイルファの凶暴なスライムおっぱいが悪かった。いいや、スライムおっぱいに負けた俺が悪かった。とにかく、ごめんよーーー!! 俺はルシアたん一筋!!


 背中に押し当てられたルシアのおっぱいは焼きもちの代償だと知り、身体が一気に火照ってしまう。


「ああぁぁぁああぁ、ルシア。す、すまない。俺にはルシアだけだから……他の子は目に入らないから……ごめん」


「別に他の子見てもいいんですけどぉ、うちのこともしっかりと見てくれはりませんと、嫌われてしもたんかなと思ってしまいますから……こんなうちみたいな重たい子、ツクルにーはんは嫌いなんやろね」


「そんなわけあるか馬鹿。俺はルシアだけ見て生きていくことに決めているんだ」


 目隠ししていた手が外れると、ルシアが俺の眼の前に現れた。さっき渡した白いマイクロビキニ姿のルシアの肢体は女性らしさを強調させており、頭の狐耳と後ろに纏めて結い上げた髪がいつもとは違う雰囲気を醸し出している。


「ホンマですか……ホンマにうちのことだけ?」


 目の前に座り込んで真剣な表情をして、上目遣いで聞いてくるルシアの姿に心がズキュンと撃ち抜かれてしまい、俺の視界にはルシア以外、何も認識できないようになっていた。


「ああ、今はもうルシアしか、見えねえ」

「ツクルにーはん……」


 ルシアに魅了されてしまった俺は、彼女の翡翠色の眼にすべてを吸い込まれていくような感覚に陥っていた。

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