第42話 ツクルの本性

 寝室を出て作業場にくると、防壁の建材となる【コンクリート】を生成するために、【鉄筋】や【セメント】を作り出さねばならなかった。


 まず、【鉄筋】を生成するために、【金床】を生成しなければならない。その【金床】に必要な【鉄台座】を作業台から生成する。


 【鉄台座】……ハンマーを振り下ろす台座。 消費素材 鉄のインゴット:20


 大量に【鉄のインゴット】を消耗するが、現状のレベルで作れる防壁で高強度を誇る鉄筋コンクリートの防壁を作成すれば、この辺りの魔物はなすすべなく防壁に阻まれて、我が家へ侵入できなくなる。そのためには惜しくない出費だ。

 

 ボフッ!


 【鉄台座】が生成されたことで、【金床】が生成可能の白文字に変化していた。


 【金床】……武器・防具を高性能化させたり、金属系建材を拵えることができるようになる。 消費素材 鉄台座:1 鉄のインゴット:20 銅のインゴット:5 木材:10 棒:2 

 

 ボフッ!


 【金床】は素材を消費して、金属系の武器防具を高性能化できたり、金属系の建材を生成できるようになる作業道具で、鉄台座と金槌がセットになって作業台の上に生成された。生成された【金床】は作業スペースの【製錬炉】の隣に設置してやる。


 すぐに【金床】メニューから【鉄筋】を連続生成していく。


 【鉄筋】×100……鉄を細く伸ばして棒状に加工したもの。建材の強度アップに使用される 消費素材:鉄のインゴット:1


 ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ!


 とりあえず、五百本ほど準備しておくが、必要量が分からないので足りなければ追加で生成することにしておいた。


 続いて、【セメント】を生成するための【回転式焼成炉】を生成することにした。作業台メニューから【回転式焼成炉】を選択する


 【回転式焼成炉】……主にセメント製造に使用される回転式の窯 消費素材 鉄のインゴット:15 銅のインゴット:10 石炭:20


 ボフッ!


 生成され【回転式焼成炉】は【金床】の反対側に設置する。メニューを開くと素材は揃っているため、【セメント】の生成を始めることにした。


 【セメント】×10……土木・建築等で水にねって使う接合剤。粘土を含む石灰石や石膏を焼いて作った粉末。かわいた後は非常に固くなる 消費素材 石灰石:10 粘土:10 石英:2 石膏:10


 ボフッ!


 完成した【セメント】が袋に入って炉から飛び出しきた。その袋をインベントリにしまい、作業台に戻るとメニュー画面にあった【鉄筋コンクリートブロック】が生成可能な白文字に変化したので生成する。


 【鉄筋コンクリートブロック】×10……コンクリートと鉄を組み合わせることで互いの長所・短所を補い合い、強度や耐久性を向上させた建材 消費素材 鉄筋:10 砂:2 砂礫:2 水:2 セメント:1


 ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ!


 今ある素材分で作れるだけの【鉄筋コンクリートブロック】を生成していった。


「これで多分足りるだろう。後は簡易トラップ用の【縄】と【感圧板】を生成して、【竹】トラップも併せて仕込んでおけば、間違って寄り付いてきた魔物も捕獲及び殲滅できるはず」


 先にトラップ用に使う【縄】を生成することにした。作業台のメニューから選んでいく。


 【縄】×10……ツル草をより合わせて強靭化させたもの 消費素材 つる草:10


 ボフッ!


 完成した【縄】をインベントリにしまいこむ。後は感圧板に必要な【バネ】の生成に取りかかることにした。


 【バネ】×5……コイル状に巻かれた物体の弾性を利用した物品 消費素材 鉄のインゴット:2


 ボフッ!


 完成した【バネ】を使い【感圧板】を作り出していく。


 【感圧板】……板の上に乗った重量により動作する板 消費素材 バネ:2 木材:1


 ボフッ!


 生成された【感圧板】はトラップの発動用踏板として設置する予定にしていた。これを踏んだものが竹トラップの餌食となって絶命するものを組み上げる予定である。


「フフフ、フハハハっ! 魔物どもめ、マイスウィートマイホームに近づけさせる気はないからな。荒れ地に骸を晒すがよい」


 思わず悪役笑いがこぼれだした時に、振り向くとルリとハチがじーっとこちらを見ていた。


「お邪魔だったわね。ハチちゃん、戻ろうか」


「そうだなも……ツクル様、ルシア様がご飯できたといっとりゃーすで、冷めんうちにこやーよ」


 何かいけない物を見たような様子で、そそくさとダイニングに戻ろうとするルリとハチを呼び止める。


「あー二人とも。今言ったことは黙っておくように……特にルシアには絶対に言ったらいけない。俺が悪魔的なトラップ地獄を生成しようなどと知られる訳にはいかないのだ。二人とも分かるね?」


 噛んで含めるように二人を言いくるめる。

 

 ルシアはとても心根が優しい女性なので、魔物とはいえ大量虐殺をするトラップをニンマリ顔で生成する俺の本性を知ったら、ドン引きされるかも知れない。だから、絶対にバレないようにしなければならないのだ。


「だまっとりゃーすで、はようご飯だべよみゃー」


「ツクルさんがちょっとイッチャッてるのを、ルシアさんに黙っておけばいいんですね。分かりました。黙っておきます」


 何とか二人を言いくるめることができたので、安堵してルシアの作った朝ご飯を食べに行くことにした。

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