第19話 農地開墾と恋人からの素敵プレゼント


 覗きイベントを諦め作業台に到着し、開墾作業に必要な道具類の作成を始める。必要な開墾道具は【スコップ】、【鎌】、【クワ】の三種の神器に【ジョウロ】、【木こり斧】、【鉄のつるはし】を加えた六点セットが最低でも必要になってくる。


 昨日の鉱石掘りで手に入れた【鉄のインゴット】や【銅のインゴット】も多く生成できたので、一気に開墾道具を揃えるつもりだ。作成するものを【鉄の作業台】のメニュー画面から選んでいく。


 【スコップ】……攻撃力+10 付属効果:自生している草花・野菜・根菜等を掘り起こしてそのまま素材化できる 消費素材 鉄のインゴット:3 銅のインゴット:1 棒:2


 【鎌】……攻撃力+15 付属効果:周囲の草花を刈り、開墾用地に転用可能にする 消費素材 鉄のインゴット:2 棒:2


 【クワ】……攻撃力+10 付属効果:鎌によって除草された土地を掘り返すことで畑に変化させる 消費素材 鉄のインゴット:4 棒:3


 【ジョウロ】……畑に変化した土地に水分と養分を与えることができる 消費素材 銅のインゴット:3 鉄のインゴット:1


 【木こり斧】……攻撃力+25 付属効果:切り株や大木、竹を素材化させることができる 消費素材 鉄のインゴット:5 銅のインゴット:2 棒:4


 【鉄のつるはし】……攻撃力+30 付属効果:石英、金鉱石、銀鉱石、鉄鉱石、銅鉱石、石炭の素材化が可能となる 消費素材 鉄のインゴット:5 棒:4


 素材が足りているので六点セットを連続生成する。


 ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ!


 問題なく完成した開墾六点セットをインベントリにしまい込む。ついでにルシアの調理道具も足りない物を追加生成して、石製器具も銅製にバージョンアップさせることにした。作業台のメニューから調理器具を選んでいく。

 

 必要と思われる物を順番に生成欄にドロップしていった。


 【鉄包丁】……攻撃力+15 付属効果:なし 消費素材 鉄のインゴット:1 銅のインゴット:1 棒:1


 【まな板】……木製の板 消費素材 木材:1


 【銅鍋】……銅製の鍋 消費素材 銅のインゴット:1


 【銅の大鍋】……一抱えある大きな鍋 消費素材 銅のインゴット:3


 【銅のフライパン】……銅製のフライパン 消費素材 銅のインゴット:2


 【鉄のフライ返し】……鉄製のフライ返し 消費素材 鉄のインゴット:1


 【泡だて器】……泡立てるための器具 消費素材 鉄のインゴット:1 


 【網笊】……金網の笊 消費素材 鉄のインゴット:1


 選択した道具を連続生成していく。


 ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ! ボフッ! 


 作業台の上に現れた調理道具をインベントリにしまい込んだ。


「これで開墾準備は整ったことだし、防壁内の荒れ地を畑に変えて、食料の自給体制を構築することに邁進しよう」


 道具の精製を終えると休憩をすることなく、そのまま荒れ地の開墾作業に入ることにした。


 防壁を作った際に土地だけはならしておいたが、木の切り株や雑草、竹なども自生しているままで、耕作できる土地にはなっていなかった。


「ふぅ、これは一仕事だねぃ……でも、まぁ。これくらいの畑があれば俺とルシアの食料は十分に自給できるだろうな……」


 防壁内の荒れ地は四〇メートル四方あり、個人で開墾するにはかなりの広さであるが、ビルダーの力を以ってすれば半日もかからずに作業を終えることができると思われる。


 早速、【木こり斧】を装備して切り株や竹を切り伏せていく。


 ズバンッ! ズバンッ! ズバンッ! 


 【木こり斧】によって順調に解体された切り株は【棒】、【木材】に変化し、竹は【竹材】に変化していた。この【竹材】という素材も汎用性が高く、色々な道具や建材を作る際に活用することが多いので、あるだけ収集しておくことにした。


 粗方、切り株や竹を除去したら、今度は【鎌】に持ち替えて、荒れ地に自生している草を刈り取っていく。一振りで自分の周囲一メートルの草がバッサ、バッサと刈り取られていく光景はルシアでなくてもポカンと眺めてしまった。


 マジでビルダーの力はスゲーな……草刈り機以上の性能を発揮するじゃねえか……


 【鎌】よる除草はすぐさま終わり、刈り取られた草は、【干し草】と【雑草】に変化していた。どちらも、家畜用の飼料となるが、ゲームでは【干し草】の方がより家畜の成長を早めてくれる効果があった。


「おぉ……壮観な眺めだな。さっきまで鬱蒼とした荒れ地だったとは思えない光景だ。さて、あとは【クワ】で掘り返して【ジョウロ】で水を与えれば、立派な畑になってくれるぞ」


 休憩もそこそこに【クワ】を手に持つと、地面を丹念に掘り返していく。転生前には農作業などは幼稚園時代に少しお手伝いした程度の経験しかなかったが、振り下ろした【クワ】はしっかりと地面を耕していってくれていた。


 ボフッ!


 ある場所を掘り返したら白煙があがり、何かが素材化した。よく見ると紅い物体だが、見覚えのある食材に思えた。インベントリに収納すると【サツマ芋】と表示されている。


 か、甘味ゲット……そういえば、【サツマ芋】は種芋にして増やすことができるはずだったな。ちょうどいい。御飯がない現状では貴重な炭水化物の供給源になってくれる。


 偶然に掘った場所で畑に植える物を見つけて、喜びを隠しきれなかった。


 残りの場所を開墾していくと【ジャガイモ】も素材化して飛び出してきていた。どちらも種芋を植えておけば勝手に増えて食べられる食材になる根菜類であり、今後の食生活の向上に非常に寄与してくれるものと思われる。


 開墾した場所を畑にし終えたところでジョウロに水を汲み行く際に、沐浴を終え濡れた髪のままのルシアが目隠し用の土壁からちょこんと顔を出してこちらを見ていた。


「ツクルにーはん……さっきもろた下着だけど……少しサイズが合いまへんと思うて……おかしくないか見てくれませんか?」


 恥ずかしそうに胸を隠したルシアがゆっくりと土壁から出てきた。


 身長は一五〇センチ程度だと思われる小柄なルシアの身体に見合わぬ、巨大な双丘を【革のブラジャー】が包み隠しきれずにはち切れそうになっていた。


 ファオァーーーー!? 凶悪的なボディじゃないっすかっ!! ああぁ、無理っすっ! 揺れる谷間に目が釘付けになってしまう……本能的に大きな胸に魅力を感じてしまうのだよっ! 抱き心地や触った時の柔らかさに癒しを求めてしまうのだよっ! 悲しいけど男とはそういう生き物なのだっ!

 

 俺が渡した革の下着を身に付けたトランジスタグラマーを絵に描いたような恋人が、恥ずかしそうに胸を隠しながら、変なところが無いかと尋ねてくるシチュエーションに、脳内の血液が一気に沸騰していた。


「いいや……全然変じゃないさ。と、とても似合っているよ。ああ、やっぱりルシアにはよく似合うと思ったんだ。うん、似合っている。似合っているとも」


「ホンマにですか? うちこないに背が低いのに、乳だけ、よお育っとるから、けったいな子やと思われてへんか不安やったんやわ~。ホンマに変じゃないですか?」


「ああ、全然そんなことないよ……その……凄く魅力的な女性だと思う」


 照れて身をよじる度に、ルシアの双丘がブラジャーからこぼれ落ちそうになるほど揺れる。その度に俺の視線が揺れる胸を追っていく。


「そないジーッと見たらあかん~。恥ずかしいわぁ」


 ルシアが余りに俺の視線に晒されるのが恥ずかしかったのか、胸を隠そうとこちらに可愛らしいお尻を向けていた。


 デザイン的にお尻を覆う面積が少なくなっていたが、ルシアのフサフサの尻尾を圧迫するようにはなっていなかった。


 フォアオオーーーーー!? 尻尾で覆われている部分以外は丸出しじゃないっすかぁ!! おっぱいも素敵だけどお尻も素敵ですぅう!!


 ルシアの刺激的なおっぱいで脳内の血液が沸騰寸前だった所に、不意打ちのお尻によってリミットを越えてしまった。


 ツツーー。


「ブハッ!」


「ひゃあぁ!? ツクルにーはんっ!? どないされたん! ああぁ、鼻から血がぁ!?」


 俺は【ジョウロ】を持ったまま鼻血を出して地面にぶっ倒れてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る